見出し画像

『インサイド・ヘッド2』 の新キャラは大人になってくると表れてくる「二次感情」

ディズニー&ピクサーは最近、大人向けの感情をテーマにした映画を多く制作しています。今回は、大人が泣けると言われている、日本で8月1日(木)に公開される映画『インサイド・ヘッド2』にでてくる感情ついて、精神科医が解説します。

『インサイド・ヘッド2』の製作者は、この映画のメッセージを「ダメなところも含めて自分を愛すること、すべての感情はいつか宝物になる」としています。

では、「すべての感情はいつか宝物になる」とはどのような意味なのでしょうか。なぜ、大人になった主人公ライリーには新しい感情が表れるのでしょうか。

映画『インサイド・ヘッド』では、<子供の頃から見守る感情たち>と、『インサイド・ヘッド2』で登場する<大人の感情>に分けています。

<子供の頃から見守る感情たち>

  • ヨロコビ:いつでもポジティブでハッピー。たまに空気が読めないことも。

  • カナシミ:内気で泣き虫。だけど、実は誰よりやさしくて仲間思い。

  • イカリ:熱い闘争心の持ち主。一度キレたら誰にも止められない。

  • ビビリ:いつも怯えているが、迫りくる危険には素早く反応する。

  • ムカムカ:キライなものやダサいものは断固NG。毒舌な一面も。

<大人の感情>

  • シンパイ:最悪の将来を想像し、あたふたと必要以上に準備してしまう。

  • ハズカシ:いつもモジモジしていて、恥ずかしさMAXになるとフードで顔を隠す。

  • イイナー:小さな身体で背伸びして、いつでも周りの誰かを羨んでいる。

  • ダリィ:どんなときも退屈で無気力。片時もスマホは離さない。

心理学で言えば、<子供の頃から見守る感情たち>は「基本感情」と言えます。
心理学では基本感情は、「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「恐怖」「驚き」の6つの感情を指すことが多いです。そのうち『インサイド・ヘッド』では、「喜び(ヨロコビ)」「悲しみ(カナシミ)」「怒り(イカリ)」「嫌悪(ムカムカ)」「恐怖(ビビリ)」の5つを取り上げています。

一方、<大人の感情>は心理学で言うところの「複雑な感情」「二次感情」「対人関係で生まれる感情」にあたります。思春期以降、だんだんと考えるようになるとわきでる感情なので、<大人の感情>なのですね。「心配・不安(シンパイ)」「恥ずかしい(ハズカシ)」「羨望(イイナー)」「無気力(ダリイ)」がそれにあたります。他にも「寂しい」「虚しい」「絶望」「嫉妬」「自尊心」「罪悪感」「疑念」「焦燥感」などがあります。

「基本感情」は、人間が本来持っている状況に応じて自然と湧き上がる感情で、「二次感情」は何かを考えることで湧いてくる感情です。

「基本感情」と「二次感情」は同じ感情ですが、その対処法が異なります

「基本感情」は、その感情を認めるだけで、つまり「自分は悲しいんだな」と感じる、「自分はむかついているんだな」と感じるだけで和らぐとされています。

一方、「二次感情」はその感情を認めるだけではなく、状況に対する極端すぎる「考え」を変えないと和らぎません。

ライリーは大人になってきたからこそ、「二次感情」を感じるようになってきたのですよね。
さて、ライリーは<大人の感情>とうまく仲良くなれるのでしょうか。
映画を見てのお楽しみですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?