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地方創生の鍵となるか!?西伊豆・地域通貨「サンセットコイン」を体験!


こんにちは。先日釣りをしに西伊豆にお邪魔しました。
釣りは初心者なので、船の上から揺れる波と竿を呆然と眺めていたのですが…。

大人数で行ったため、釣った魚の量が多く、釣り宿で調理してもらうものを差し引いても、魚が余りました。
かといって釣って時間がたった魚を海に返す訳にもいきません…。
持ち帰るにも、西伊豆にまだ滞在する予定のため処理をしたといえど鮮度が気になります。
釣りを経験された方でこんなこと経験された方はいらっしゃらないでしょうか?

西伊豆では地域通貨「サンセットコイン」を導入しています。
その一部として釣り人をターゲットにした施策を行なっています。
特定エンタメ領域に特化した興味深い地方創生の事例だと思ったので、ぜひご紹介させてください!

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ITによる地方創生とは?

「地方創生」はアベノミクスの三本矢のうち一つして話題になりましたね。しかし「地方創生」ってなんでしょうか?
「地域活性化」とも呼ばれますが、これは過疎化や高齢化が進む地方の市や町などで、その地域の特色や魅力を押し出して地域をアピールし、他の地域の人たちに興味を持ってもらい足を運んでもらうことや、その地域で雇用を生み出し定着してもらおう。といった取り組みになります。
これをITの力で行なった場合「ITによる地方創生」と一般的に言われます。
よく取り上げられる例としては茨城県つくば市「教育分野のICT化」や青森県の「観光情報のクラウド化」などがあげられますね。
教育分野では子供達の状態をよりよく保つためにITが取り入れられ学力の上昇など成果を出すことで、この地域の学校であれば高い水準の教育が受けられると魅力を感じる家族に移住してもらおうと頑張っています。
ここにしかない魅力を作り出し、展開することで地域に人を集めようと各地方頑張っている最中だと思いますね。皆様の地域にも、もしかしたらあるかもしれません。

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「サンセットコイン」ってなに?

西伊豆のサンセットコインとは簡単に言えば「地域限定の電子マネー」になります。
西伊豆で取得しても、他の地域、県では使えない通貨です。
サンセットコインは2020年5月と新しい施策で、現在の時流を汲んだキャッシュレス化の施策になります。


サンセットコインはアプリまたはカードで使用することができます。
カードも選択肢にいれたのは、アプリでは高齢者が対応できないということを想定したように感じます。
そこで、地域通貨を普及させるために西伊豆では地域住民に1万円チャージしたカードを配布しました。
サンセットコインでお買い物してもらうことで、お得な特典がつきますよ!という施策ですね。日本人は未だ現金主義なところが強く、キャッシュレス化が主要国と比べ浸透していません。使いやすい形にし、お得感をつけることで、普及させようとしているんですね。

また地元住民だけでなく、観光客や西伊豆を応援するふるさと納税者にもサンセットコインを付与しています。そうすることで他の地域から人を呼び込んで地域に貢献してもらおう!というものですね。

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特定エンタメ領域に特化した理由

地域のキャッシュレス化や観光客の呼び込みに使用されるサンセットコインですが、「特定のエンタメ領域に特化した施策」を持っています。

それが「釣り人」をターゲットにしたものです。
ツッテという釣りによる町おこしを行う団体が西伊豆の町役場とタッグを組み「ツッテ西伊豆」という企画を行なっています。
西伊豆で一般の釣り人が魚を釣った場合、その魚を適切な処理をして釣り船の運営元から許可をもらったものを特定の施設に持ち込むとサンセットコインで買い取ってもらえます。
釣り人はそのサンセットコインを使ってお土産を購入したり、食事をしたりと地域内で活用ができます。

ではなぜ、釣り人がターゲットになったのでしょう?
ここからは憶測に近いものになってくるのですが、考察していきたいと思います。
釣り好きの方から聞いたのですが、西伊豆は釣りスポットとしてかなり有名で、訪れる釣り人も多いそうです。
ただ釣り人は基本的に釣ったら即帰宅する人が多く、地域にお金を落としてくれにくいといった課題がありました。
理由は魚を持ち帰る場合、生の魚を長時間放置するのは危険になるため、処理をするために早めに帰宅したいからです。
また釣りは長時間行うことが多いので、疲れがやすく、観光するよりも早く帰りたいと感じるそうです。

せっかく沢山の釣り人が訪れているのに、地域の魅力に触れずに帰ってしまう…。
大変もったないですよね!
西伊豆としても、なんとか釣り人の滞在期間を増やし地域に貢献してもらおう!と町おこし団体と考えた結果サンセットコインを絡めた施策が登場したのではないでしょうか。

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全ての人が幸せになる施策づくり

この釣りに特化した施策は、体験して「利用した全ての人がwin-winになる施策」だと感じました。
感じた理由としては、初心者ならではの理由もあり、
1. 釣りの道具を一切持っていない
2. 釣りの仕方がわからない
3.  釣った魚を処理できない
といったところです。
初心者だけのファミリー層などの場合、釣りのハードル高いですよね。
子供の面倒も見ないといけない上、疲れたまま釣った魚を持ち時間を気にしながら即帰宅そして処理をする…忙しいことこの上ないです。

そのハードルを下げるのが、サンセットコインを絡めた施策「ツッテ西伊豆」なのです!
1.  漁船によっては釣り道具一式レンタル可能
2. 漁師が釣りの仕方や処理の仕方など丁寧にレクチャーしてくれる
3.魚の状態を保証する証明書を発行している所だと、証明書をもらえる
4.  証明書を持って特定施設に行くと、魚と地域通貨を交換してもらえる
道具を用意する必要も魚を持ち帰る手間もなく、かつ釣り宿に泊まれば自分たちが釣った魚を食べられ、余ったら地域通貨に変換できる。
私みたいな初心者釣り人にとっては大変嬉しい施策ですね…!!

さらに西伊豆は漁師の高齢化も進んでおり、市場におろせる魚の量も減ってきている可能性があります。市場としては魚の量を確保したい。漁師も楽しく観光客が釣りをし、必要ない魚を観光客自身の手で処理と持ち込みを行ってもらい、手間をかけずに魚を市場に提供でき、さらに、自分たちのプランに申し込んでもらい、釣り宿に泊まってもらえたらその分プラスになりますよね。
漁師も市場も大歓迎な施策で、かつ釣り人にとっても嬉しいものになります!
さらにサンセットコインで買い物してもらえたら、地域にお金が落ちますよね。地域も喜ぶ施策です。どの立場の人も幸せになれる施策を考え出したのは大変素敵ですね…!!

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感想

体験してみて、サンセットコインは地域、観光客、地元漁師、誰にとってもプラスになる施策づくりをしている例だと思いました。
釣りを楽しんだ上、面倒な処理が必要な魚を持ち帰る必要もなく、ゆっくりと宿で美味しく料理を食べ、残った魚をサンセットコインに変えて、私もお土産を購入しました!
地域ならではのお土産品が買えるので、ついつい色々買ってしまいます…。
気づいたらサンセットコイン以上の買い物をしていましたが、普通に買うよりお得なので気になりませんでした。
こういう施策があると、また行きたいなって思いますね。

地域の魅力を拡張する手として、観光客という大きなくくりではなく、西伊豆のように「釣り人」と特定のエンタメ領域にターゲットを固定してしまうのは、その地域の特色に合致するとかなり強い施策になります。
楽しく地域に貢献する…そういった施策が増えてくれると、その地域に行きたい!と強く思うので是非増えて欲しいですね!

西伊豆のサンセットコインに関しましては、変換できる施設、保証書を出せる漁船、利用できる店舗は限られています。事前に調べて行かれることをお勧めします!
この夏は西伊豆に釣りはいかがでしょう。ぜひ足を運んでみてくださいね。

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