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コロナシフト〜リアルなアメリカの現在〜③「企業に求められる本質的なDXとイノベーション」

こんにちは!私たちデジタル&フィジカルデザイン編集部では、「リアルなアメリカの現在(今)」を全3回のシリーズ連載として立ち上げました。アメリカ在住の方からのリアルな声に耳を傾け、コロナ渦におけるアメリカの課題やデジタルシフトによってもたらされた消費行動の変化、大統領選挙のゆくえを紐解いていきます。
第三回目のテーマは、「企業に求められる本質的なDXとイノベーション」。今回もMike Uesugiさん(以後Mikeさん)にお話を伺いました。(※このシリーズは個人の見解も含まれるため、ひとつの考察として捉えて頂ければ幸いです)

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第一回目と二回目の記事はこちらから↓

アメリカのDX、日本のDXとの違い。

前回のインタビュー時にニーズをいち早く吸収し、サービスとして提供するための動きがアメリカにはあるのかなと感じました。今回はその辺りのお話を伺えればと思います。

Q:日本では、ここ数年DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が浸透しつつあります。アメリカはDXという概念はあるのでしょうか?また、コロナ渦においての課題などはありますか?

Mikeさん:アメリカにはDXという言葉を全面的に使うことはありません。当たり前のように根付いているからです。コロナ渦前からslackやMicrosoftなどのコミュニケーションツールの活用が進んでいます。もちろんg suiteや、Zoomなどでのオンライン会議もです。

アメリカでのコロナ渦における課題のひとつに「コミュニケーションの取り方が難しくなっている」ことを挙げられると思います。アメリカ人はいわゆるスモールトーク(雑談)が好きです。会社で誰かと気兼ねなく会話を楽しむ、雑談を楽しむことが活発的に行われていて、それらがビジネス的にも人的にもコミュニケーションを円滑にしていたんですね。コロナでリモートワークが本格的に始まっていくと、必要最低限の会話しか発生しないようになりました。対面でないと、気軽にちょっとした些細なことを話せないんです。細かい会話の積み重ねが人間関係を作ると思いますが、それができていないのが現状です。私自身もこれは非常に大きな課題だと感じています。

Q:なるほど。私たちもリモートワークで会議などをしていますが、確かにオフィスにいたときのちょっとした会話は生まれにくいと感じています。

Mikeさん:人と人が会話して生まれるシナジーのようなものが希薄になることは、懸念しています。心理的安全性に近いかもしれません。

Q:1回目、2回目のお話の中から、アメリカは変化に対応するスピードが違うと見受けられました。日本はなかなか大きく変化できないことが多いように感じています。アメリカの場合、デジタルに変革させていくときの抵抗の有無や、抵抗する人たちを説得するやり方の秘訣などはあるのでしょうか?

Mikeさん:そうですね。アメリカ自身がチャレンジ精神に満ちている企業が多いというのがひとつの要素かもしれません。GAFAなどを筆頭に、新しいイノベーションを起こしていかないといけないというマインドを常に持っている人が多いからです。リーダーシップをとる人の会話や説得が上手で、明確なビジョンを抱えながら、常に前をむいて動こうとするスタンスが強いんですね。アメリカ人と一緒に仕事をしていくと、ドライな部分もあるんですが、いざ仕事を始めると目的に対して熱い気持ちを持っていることに気づかされます。それ以外の部分やプロセスはいい加減だったりするときもあるのですが、何よりもマインドが大事です。

Q:リーダーシップという面では、日本はどちらかというと真面目で同調傾向があるので苦手な人が多いかもしれません。

Mikeさん:個人的見解にはなりますが、日本は真面目な方が多いのかもしれませんね。そのため、同じ型にはまりすぎてしまうのかも。型から抜け出して、そこから先に強く進んでいくリーダーシップを求められるというよりも、調和を大事にしながら足並みを揃えていくことを重視しているのかもしれません。これは完全に文化の違いなのでしょうが、アメリカは様々な人種が集まる社会です。多様性を受け入れながらも、同じ方向をむいていないとビジネスを成功させられないということを身を持って感じます。そのためには強い「マインド」必ずこれを実行するんだという強い気持ちを持ち続けることが必要なんです。

Q:個々が強いマインドを持ち続けるという意識は非常に大事ですね。個人でその意識を持っていても、企業単位で考えるとなかなか動けないという声もよく聞きます。

Mikeさん:やはり、企業自身の持つ「ビジョン」が大事だと捉えています。アメリカは起業する人も多いからなのか、失敗しても許される土壌が整っています。(もちろん、古い体質の企業もありますが)新しいイノベーションを生み出し続けていく会社がどんどん前へ進んでいき、成功していけているので、企業の持つマインドや文化はとても大事だと思っています。

Q:まだまだ新型コロナウィルスが収束しない気配はありますが、ワクチンなどできたら収束に向かっていくのかと希望的観測を抱いています。Mikeさんは今後はどうなっていくと思いますか?

Mikeさん:おそらくですが、 段階を経て少しずつ元どおりになっていくのではないでしょうか。例えば、PCR検査とワクチン接種証明書を見せたら飛行機に乗るという流れなど。そんな時でもアプリなどでスマートに証明できる仕組みが導入されそうですよね。収束していく流れの中で、新型コロナウィルスのような新しい感染病が出なければ、少しずつ戻っていくと思っています。ちなみにご存知かもしれませんが、アメリカはマスクしない人種と言われています。今までマスクしてる人を見たことがないほどで、逆にマスクしていると病気なのかと思われるぐらいです。(笑)
でも、新型コロナウィルスの感染拡大によって、危機的な状況になってしまい一斉にマスクをつける生活様式になりました。急激な環境の変化は本当にすごいなと感じています。

Q:今回も貴重なお話をありがとうございました!全三回、お話を伺ってリアルなアメリカの現在を知ることができました。

第三回目のまとめ
全三回のインタビューを通して、普段のメディアからは伝わりにくい「リアルなアメリカ」の輪郭を感じとりました。みなさんはいかがだったでしょうか?

それと同時に、アメリカで先駆けてやっていけていること、ニーズに応えたスピーディーな変革と意識にはインタビュー側としても改めて気づかされることが多かったです。「変わらなければいけない」という状況下におかれたときに、柔軟にフィットしていく気持ちを持てるかどうかはサービスに携わる私たち自身の課題でもあるのかもしれません。(自戒を込めて)

今後も不定期でMikeさんからアメリカの現地でのお話、業界の動向などを伺っていく予定です。その際はぜひご覧いただければと思います。


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