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鳥の目、虫の目、私の目

1926年、アメリカにあるイエローストーン国立公園から野生のオオカミが姿を消した。

捕食動物であるオオカミが生態系を乱す恐れがあるとの理由で、人間の手により駆除されたのである。

するとどうなったか?
天敵であるオオカミがいなくなったことで、シカが大量繁殖。植物を食い荒らし、生態系が壊滅状態に陥った。

生態系を守ろうと人の手が介入したことにより、結果として大きく生態系を乱すことになった。

よかれと思った行動が、世界の秩序を狂わせることがある。いま、私達は同じ過ちを繰り返そうとしてはいないだろうか?


先日、息子が骨折した。
スケートボードでひっくりこけたからだ。

泣き叫ぶ息子を担いで病院に行き、ズレた骨を整復してもらい、ギプス固定をしてもらった。

子供の回復は早いもので、今はもう逆立ちや側転をしては、鼻の頭をツンと上に向けてこちらを見てくる。覚えたてのドヤ顔がなんとも可愛らしい。

さて、もし私がここで、「あぶない!またケガしたらどうするの。やめなさい!」と言ったらどうだろう。

ましてや、転倒したり高い所から落ちてはいけないからと「外遊び禁止令」なるものを発令すればどうなるだろうか。

確かに、息子がケガをするリスクは減るのかも知れない。しかし、結果的に運動不足で身体の弱い子に育ってしまう可能性は高い。

さらに、転倒したときなど、大抵の子なら自然と受け身をとって大事に至らないところを、身体をあまり動かさずに育った息子は、モロに頭を打って、最悪な結果になるかも知れない。

要するに、息子のケガを心配して、運動を制限した結果、より重大なケガや病気を招くリスクが増加したのである。

世界ではいま「持続可能な社会を!」などと言われている。

それを聞いてなんとなく、「じゃあいろんな事を節約します」と、1円でも安い物を買うことにした。

しかしその行動が、遠いどこかの貧しい国の、目を覆いたくなるような、過酷な労働環境を助長していることに気が付かない。

我々は、すぐ近くの見える範囲のことに目を奪われがちだが、もっと視点を高く、視野を広げる習慣を身に付ける必要がある。

スーパーのレジ袋をやめて、エコバッグを使う。その心持ちを否定すべきではない。

しかし、なんとなく、それだけでいい事をしている気分になって、満足してしまってはいないだろうか。

本当にわが子の将来を案ずる親のように、様々な視点から地球の未来を考える。

そんな目を、私は持ちたい。









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