おれにはもうnoteがわからん
note文学。
先達はこれをパルプ/pulpと称するらしい。あるいはnote文学の一画を指してそう呼ぶらしい。
んで、逆噴射小説大賞は俺の知る限り、note文学──主にパルプにおける祭典の最たるものだ。800字のテキストに詰め込まれた引き込まれる冒頭にパンチラインとクリフハンガー、そして強烈で緻密な世界観。そんな中でも最高にエキサイティングで優れたものが大賞を受賞するそうな。
しかし何が審査員の心証を左右するかは半透明だ。ヒントは与えられるものの、その答えは自身の全力の中に隠されている。己の人生の軌跡が紡ぎ出してきたセンスというやつが試されているのだ。
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今回二次選考を二作突破した。
これは素直にうれしいことだ。同時にありがたいと思う。だがどういうところが評価されたのかさっぱりわからんので、来年に向けての対策が中々取れない。困ったことに。
更にこれに気を良くして調子に乗らないよう心がけていきたいとも思う。というのも俺の作品は同じようなパターンであることが多いように思うからだ。ここで研鑽を積み、更に展開のバリエーションを増やしていきたい。
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まず俺には展開の癖のようなものがあるのだ。パンチラインをいきなり提示して、そのあと状況説明に持ち込む、という流れが自分の中で固定されてしまっている。
起承転結で例を引くなら、
起……学校のトイレ前でうんこを漏らした。うんこを漏らしたところをいじめっ子に見られた。
承……言いふらされては困るので殺した。
転……とりあえず死体を隠すとクラスの女子に見つかった。
結……女子ははいじめっ子に「漏らしたうんこを片付けろ」と話をつけに行くとしていじめっ子を探しにトイレに入る。主人公は自身の失態を悟ると共に、好きな子を殺して事態に対処すべきかどうか、恐怖と恋心の間で揺れ動く。
とまあこんな感じである。結が長いがまあいいとしよう。
いきなりダイナミックなうんこ漏らしで読者を惹きつけ、さらにいじめっ子を殺してひきつけ、最後に殺しと漏らしがバレるかもしれないという二段オチというわけだ。
今回突破した自作二作はこういう構成だった。逆噴射小説大賞参加者の増加に伴い、これ以外のバリエーションが必要になってくるだろう。
いや、ひょっとしたらこういう構成だったからこそ通過したのかもしれない。わからないけど。
今回二次選考を通過した作品の中で俺の思い付かない広げ方をした作品があった。
いくつか取り上げてみよう。
こいつは匿名掲示板を模したもので、単純だが俺には思いつかなかった。こういった映画のような導入は良いアイデアだと思う。
これも俺とは中々対極にある面白さだ。地道に積み上げて最後にキレイなオチもついてくる。先が気になるところだ。
あとはこれ。このnoteの機能をよくよく活用しているやつ。オンゲーにおけるチャットの様子なんかを一発でわかるよう再現している。これは思いつかなかったし、真似したいとも思った。単純にすごい。
最後はこれ。うーん素晴らしい。我々の日常と地続きになっているために世界観を説明する必要を省いていながら、現実にあり得ない事象を起こして読書を促している。個人的には一番参考になったかも。
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けれども一つ言いたいのは選考を突破しなかったからといって別にその作品が劣っていたりつまらなかったりするわけじゃあない。
俺はnoteの新参者だしまだ全然書いていなかったりするから、面白い話を次々書いている先達には本当に敬意を抱いている。そしてそんな人たちと競い合える逆噴射小説大賞は素晴らしいイベントだ。
来年は自他共に今年よりも更にパワーアップした作品で楽しみたいものである。
終
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