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スマートロックのすすめ

3ヶ月ほど前、実家の玄関の扉にスマートロックが取り付けられた。

スマートロックとは、鍵がなくても、スマホや指紋もしくはパスワードを入力するだけで鍵を開けることができる、かなり未来的な装置のことだ。

母から「スマートロック買おうと思うんやけど」と相談された時は、
「えー、うちの玄関の扉、古いし木製やし、ちゃんと取り付けられるんかなー」
と否定的だった私だが、今では鍵がいらない便利さに屈服している。

鍵といえば、大学時代にヨーロッパをふらふらと旅していた時のことを思い出す。

せっかくヨーロッパに行くのだからと、その時は1週間から1ヶ月単位でAirbnb(通称:エアビー)を転々としながら、色んな国を訪れた。

1カ国目はハンガリー。ハンガリーにいた時は叔父さん夫婦の家に泊めてもらったので、鍵で困ることはなかった。

2カ国目はオーストリアのウィーンへ。ここで早速問題が発生した。
エアビーに着いたその日、食材を買いにスーパーに行って帰ってきて、部屋に入ろうとすると、

あれ、鍵が開かない......?

左右に何回か回してみたが、一向に開く気配はない。

その後も根気よく鍵を回し続け、ドアノブを押したり引いたりしてみたが、全くびくともしなかった。
結局、アパートの隣の部屋にいるオーナーを呼び、開け方を教えてもらった。

開け方は、鍵を挿す→右に2回回す→ドアを押すとのこと。
「いやいや、初見殺しすぎるわ」と心の中で愚痴りながら、何回も練習してなんとか開けられるようになった。

ウィーンで1ヶ月ほど過ごした後、オーストリア第3の都市「リンツ」へ。
リンツは私が高校時代オーストリアに留学していた時によく訪れていた、思い出深い町だ。

リンツのエアビーは、庭にバラの花がたくさん植えられた可愛らしいアパートの2階にあった。

ウィーンのエアビーで鍛えられた私は「今回は一発で部屋に入ってみせる!」と意気込んでいた。
いざ、部屋の前に立ち、ウィーンで教わった通りに鍵を回す。

あ、あれ......?全然開かない......!

またもや鍵は開いてくれなかった。しかもオーナーは仕事中で連絡はつかず、そのまま1時間ほど戦い続けることに。
もう無理だと思ったその時、アパートの住人っぽいおじさんが上の階から降りてきた。

私「あのすいません、これなんですけど、鍵が開かなくて、、どうやったら開きますかね」
おじさん「ハッハッハ、これはこうやってこう開けるんだよ、はい練習してみな」

本当に親切なおじさんだった。神様仏様ありがとう......

今回の開け方は、鍵を挿す→右に2回回す→一旦ドアを引く→鍵を左に15℃戻す→ドアを押すだった。

うん。

もはやそういうものなのだ、と思うしかなかった。

リンツのエアビー初日は、鍵が開かない問題に加え、洗濯機を開けたら汚水が飛び出してきて脱衣所が水浸しになったり、夜にGが同居の挨拶をしにきたり、本当に色々あった。
ただ、思い出の地を巡ったり、自然を満喫したり、滞在自体は楽しかった。

リンツを去り、その後の旅でも度々ヨーロッパの鍵には頭を悩まされた。

チェコでは玄関の扉はクリアしたものの、トイレの鍵が開かなくなり、深夜3時にトイレに閉じ込められた。
(泣きながら彼氏にビデオ電話し、気合いで乗り切った)

帰国間近の、最後に寄ったハンガリーでも、また鍵が開かず、隣の部屋のイケメンに助けを求めた。
(これはラッキー)

......

旅を終えた今、私はひそかにヨーロッパでスマートロックが普及するのを願っている。

うちの古い玄関の扉にも取り付けられたんだから、ヨーロッパの築100年の家だっていけるはずだよね、たぶん。

そんなことを思いながら、スマホでポチッと家の鍵を閉めた。

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最後まで読んでいただきありがとうございました!

それではまた次の投稿でお会いしましょう。

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