20200819 vsフライヤーズ

PRE-GAME

1勝3敗となりもう後がなくなったモントリオール・カナディアンズ。スタンリーカップ・プレイオフ・1stラウンドのGAME5です。ここ2試合はフィラデルフィアのGKハートにシャットアウトされており、ゴールが奪えていません。今日もし得点が取れないとなると、それはすなわち敗退を意味します。前日の試合で試した様々な組み合わせは機能するか。赤のジャージーで2試合完封されたHABS、今日は前回5得点を挙げた白のジャージーで登場。ハイスコアリングゲームに持ち込みたいですね。4th LINEのベルジールに変えてシャルル・ウドンを起用。センターの配置はGAME4と同じで、フィリップ・ダノーが1st LINE。ニック・スズキが2nd、イェスペリ・コトカニエミが3rdです。

LINES & PAIRINGS

FW
90タタル 24ダノー 11ギャラガー
13ドミ 14スズキ 92ドゥルーアン
62レーコネン 15コトカニエミ 41バイロン
54ウドン 71エヴァンス 40アルミア 
DF
8チアロット 6ウェバー
77クーラク 26ピートリー
61ウレット 53メテ 
G
31プライス

POST-GAME

GAME3、GAME4と序盤に押されてペースを掴めなかったHABS。この試合は序盤から攻勢に出てショットを立て続けに放っていきますが、ゴールは割れず。攻勢の中でしたが、開始1分28秒でDFチアロットが勢い余ってGKと接触。インターフェアランスを取られていきなりのフライヤーズのパワープレイです。雲行き怪しい出だし。しかし、ここで意地を見せたのが、このポストシーズン精彩を欠いていたヨエル・アルミアでした。昨日のお返しとばかりに、ブルーライン後ろから入れたパックのリバウンドを叩いて、ショートハンドゴール。ここまで122分、カーター・ハートの守るゴールが割れなかったHABSが先制します。

順調に滑り出した1ピリでしたが、2ピリは大変なことになってしまいます。ことの発端はニュートラルゾーンでのコトカニエミのボーディングの反則。レフェリーがビデオ検証をする中、実況チームも「メジャーペナルティかマイナーか」と議論していましたが、ジャッジはなんと「メジャーペナルティ+プレイヤーミスコンダクト」。KKはこの試合から退場という結果に。確かにこのボーディングは危険なプレイで、相手選手も顔に軽い負傷を負ったものの、、、厳しい判定です。

メジャーペナルティなのでここから5分間のフライヤーズ・パワープレイ。しかも当然ながらメジャーペナルティなので何度失点しても5分間は選手が戻れません。このシリーズ、ここまでPKユニットが奮闘してきましたが、1分ももたずヴォラチェクに決められて同点にされてしまいます。

こういう展開はペナルティキリングが長く長く感じます。まだまだ続くフィラデルフィアのパワープレイ、GKプライスを中心に必死にこの5分間をなんとか守り抜こうと奮闘しますが、残り8秒でまたもヴォラチェクのゴール。フライヤーズが逆転です。1-2。

逆転を許し、これ以上離されると厳しいHABS。しかもコトカニエミはすでにロッカールームへ。FW陣はスクランブル体制でラインチェンジをこなす展開に。このなんとか踏ん張りたい状況で光明を見出してくれたのは、コトカニエミと同じフィンランド・ポリ出身のヨエル・アルミア先輩でした。これまで鉄壁だったGKハートの左肩上をタイトなアングルから撃ち抜く芸術的なショットで、あっという間に同点に。ヨエル先輩、さすがです。

打ち合いのペースになってくれればカナディアンズの攻勢に。このシリーズここまでリーグ最多の36本のショットを撃ちながらすべて阻まれてきたブレンダン・ギャラガーが、ここで芸術的なボレーショットを見せます。ニック・スズキからの浮いたパスにスティックを合わせて、このポストシーズン初ゴールを叩き込みました。ようやくやってくれました。

3ピリにFWファラビーにゴールを許し追いつかれるものの、直後にニック・スズキが取り返して再びリード。アルミア→ドゥルーアンとつないだパックを、ゴール前のスズキが冷静に流し込んでくれました。

21歳で、この落ち着いたパックさばきに感嘆。このシリーズ苦しんでいた選手たちが一気にポイントを稼いでくれました。終了間際にはエンプティ・ネッターをダノーが決めて5-3。打ち合いを制したカナディアンズ、踏ん張って2勝3敗となりました。

以下、試合後のコメント:

ようやく初得点を決めたギャラガーについて、GKキャリー・プライス:「ブレンダン(・ギャラガー)がやってくれたね。彼は今まで一緒にプレイした選手の中でも、最も強いハートの持ち主だと思う。私たちが彼から何を学んだかといえば、常に100%の力で戦うということだ。そして今夜、ギャリーは私たちのために大きな得点を決めてくれたよ。」
ギャラガーへの浮かせたパスは意図的だったのか?と問われたFWニック・スズキ:「いや、実は狙ったわけではなかった。わざわざ難しい空中へパスしようという人は、そうなかなかいないでしょう。ちょっと高すぎるパスになってしまったけれど、ギャリーがネットの前でどれだけ上手なのか、みんな知っているはずです。彼は基本的にどんなパックが来てもスティックを合わせることが出来る。彼はこういったゴールを積み重ねて、今の地位を築いたわけだから。」
この試合に臨むに当たり、どの辺りを修正してきたのか?と問われたFWジョナサン・ドゥルーアン:「ただ単に、ニュートラルゾーンでもっとスピードをつけようということ。ブルーライン手前で両足が揃ってしまうようなことがないように。今日はどのラインも3人のFWがスピードに乗ってスケーティングし、フォアチェックも素早く出来ていた。コーナー付近で相手のディフェンスマンを素早くFW2人で囲むことが出来たね。そうなればターンオーバーが取り易くなる。」
現在のチームの状況について、暫定HCカーク・マラー:「このチームは、個性的なキャラクターが揃い、偉大なリーダー達で構成されている。今夜、この場所に来て「私たちはアンダードッグだ。家に帰ったら『よく頑張ったと褒めてもらえることだろう。」というセリフを言うことも出来たはずだ。しかし、選手たちはそれでは満足しないし、まったくもって幸せでもなんでもない。我々はまだまだプレイし続けたいし、そう強く思っていることを証明した試合だった。どれだけ良い作戦を立てようと、強い心と意志と熱意を持ってプレーしないと、勝利は訪れない。ここにいる選手たちがそれを示している。ここで終わりたい、などと誰一人思っていないグループだ。」

この試合でおきたハプニングをもう一つ紹介します。審判の死角だったために反則がコールされずスルーされたプレイですが、フライヤーズのニスカネンによるクロスチェッキングで、ギャリーが下唇を切って出血する事態に。

NHLとしてはこのプレイについて検証する模様で、金曜日中には結論が出るとのこと。ちなみにギャリーは試合の最後までプレイし続けており、メディカルチェックを受けたものの、今後もおそらく出場可能でしょう。ニスカネンに出場停止処分が下る可能性もありますが、どうでしょうか。GAME6は日本時間22日土曜の午前8時からです。


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