372/731 【ショートショート】 あいつ
数ヶ月ぶりにあいつと寝た。しかも3日連続。正直、ヘトヘトだ。
でも久しぶりのあいつは、前と変わらず僕を暖かく包んでくれた。
久しぶりの一夜目は素っ気なく冷たかった。でもそれもいつものことだ。そのうち、お互いがお互いの肌に馴染んでいく。温みも、形も、くぼみの一つ一つも。
いつも思う。こいつは絶対に僕以外のやつとは寝ないだろうと。あいつもきっとそう思ってるだろうから、これは暗黙の了解事項だ。
お互いにそれくらいの信頼はある。なんせ20年以上の付き合いだ。どんなに間が空いたとしても、この年月は裏切らない。
そっと言葉をかける。「これからも宜しくな」
答えはない。でもあいつもそう思ってくれている。確実に。
だから僕は、今日からも頑張れる。
次に会えるその日まで。
なあ、お前もそう思ってくれているだろう。
実家の柔らか羽毛布団よ。
冷え込みますねえ...
明日も良い日に。
言葉は言霊!あなたのサポートのおかげで、明日もコトバを紡いでいけます!明日も良い日に。どうぞよしなに。