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362/366 【人生は選択の連続だ】 劇団ノーミーツ 「それでも笑えれば」

一緒に悩みながら生きていこう

今年ほど選択肢が失われたが故に選択の多い年は無かったと振り返って思う。

そんなコロナ禍での、とある女芸人2人組と、2人を取り巻く人々の選択の物語

何が凄いって、物語そのものが「選択式芝居」であるということ!!!

登場人物が人生の岐路に差し迫った時、画面下に選択肢が2つ出てくる。我々客の過半数が選んだ方に彼女らの人生は舵を切る。それは「鯛焼きを頭から食べるかしっぽから食べるか」的な些細なことに始まり、それからはさらに大きな人生の決断に至る。

この「鯛焼き」選択肢でまずは指慣らしをさせるところがニクイ。「おおお、こういうことか!」とシステムに慣れるきっかけになる。

大きな選択になればなるほど、その分岐以降の物語の方向も変わっていく。ええっと... 役者さん、何パターンの台本覚えたんでしょう... 

いやいや、言うたかてそんなに変わらないんとちゃいますのん?って天邪鬼な客は思うかも知れませんが、いやいや、そんなズルはしていない。それは、リピート視聴者(私の回は20%がリピーター)がチャットボックスに書き込むコメントからも伝わってくる。

「前と全然違う!」だの、「俺たちのあの選択でこんなことに...」だのとリピーターの反応が出る度に、本当にこの舞台は一回こっきりなんだなあ、と実感する。

生の舞台は生故のハプニングやお客さんの空気感で、同じセリフが違うニュアンスになったりするけれど、リモート芝居ではチャットボックスに存在する「観客」でその回の雰囲気は変わるだろう。凄いのは、実際に話の展開が変わること!

それの究極が、一番最後の選択肢!!!!!!!!!!!!!!!

一番最後の選択肢からは、自分が選択した方しか見られない!!!!!!

でも、チャットボックスには、ABどちらの選択肢に対する反応も流れてくる!!!!!!

画面で進む自分が選んだ物語で、もちろん満足しているんだけど、チラッとチャットボックスを見てみると、「お母さん...!!!!!!」みたいなコメントがちらほら出てくる。私の方にはお母さん出てこないよ!何が起きてるの、あちらのパラレルワールドでは!!!!ってなる。

これは、自分の人生でも頻繁に起こる。特に大きな選択をした後は、「もしあっちを選択していたら、今頃どんな人生を送っていたんだろう...」なんて後から思うことなんて、掃いて捨てるほどある。

年末大掃除で捨てたはずなのに、数年後に何かのきっかけでふと思い出すことだって一杯ある。ああ、深く考えることもなくペロッと選んじゃったけど、あれが岐路だったんだなあ、なんて幾つあるかすらもう思い出したくもない。

そんな「選択」をして(されて)進む姿に、パソコンの前で2度ばかり本泣きした。

生きていくため、売れるために「魂を売った」と悩む芸人さんに、スペシャルゲストで登場したいきものがかりの水野さんがおっしゃっていた「前に進むため、続けられるための選択」という解釈を加えていたのが印象的だった。一番好きなことを続ける為の選択。そうだよね、何かを飲み込んで歯を食いしばって選ぶことだって、後から考えたら良かったと思えることだって、きっとあるよね。

また、生リモート芝居で、時間経過を表現する為にやった仕掛けも凄まじい。脚本のト書きでいうところの

時間経過:稽古中の数週間。

みたいなやつを、生でやってのけておられる。しかも衣装の早替えまである!

一番の衝撃は、最後のネタバレ厳禁の仕掛け!あああ、凄い。何も言っちゃいけないけど、もしこれから見る人がいるならば、ぜひ昼公演を見て欲しい。って夜公演も別の何かがあるんだろうから、結局どちらも見なきゃならない羽目になるんだ。

夏の「むこうのくに」でも思ったけれど、これらの全てを可能にしている技術スタッフさんの密着ドキュメンタリーが見たい。横カメラも移動カメラもどうやってるのかとても知りたい。

「むこうのくに」は「サマーウォーズ」的なアニメの世界をいかにリアルに表現するか、だったけれど、今回は、今の私と地続きの世界をいかに本当に「地続き」にするかが肝だった。どんなシステムを組んでいるのか、お金払うから見てみたい。

ってあのチャットボックスの岐路のやつ... (しつこい)

130分があっという間だった。

字幕つけて世界配信とかやらないかな。やるなら字幕書かせて頂きたい!書いてみたい!!だって、こんなに凄いリモート演劇、世界で他には無いはずだから!

明日も良い日に。

アイキャッチは、写真OKな本公演の、最後のご挨拶写真。

前回公演の感想はこちら。






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