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【罪とは】 劇団チョコレートケーキ 「無畏」

未来は無限ですが、人生は有限です。無限の未来のために有限なる人生を有意義にお過ごしください。

南京事件の責任を負い、極東裁判で死刑判決を受けた、松井石根の「罪」の正体とは。

戦争前も戦争後も、中国にここまで心を寄せていた軍人がいたなんて、知らなかった。そんな人が、中国戦線を率いることとなり、そして南京事件が起こるなんて、運命の神様は、時折信じられないようなカードを切る。

上が軍紀に厳しくても、それが下に行き渡るとは限らない。

やったのは部下だ。でも責任は私にある。

兵站が足りないから、行軍中に「徴発」をしていくことを命令した松井。だが、「徴発」と「略奪」の違いは、一兵卒には理解できない。だから、現場の兵隊らにとって、「徴発」を許可されたら、それは即ち「略奪」への許可と直結する。

だとしたら、それは軍司令官の罪だろう。

そこから目を背けて、「部下がやったことは、知らなかった。だが、軍司令官だから責任は取る」というのは、軍人の思考停止の言葉となる。自分の罪の本質からの逃避の態度となる。

これからのために、あの戦争は日本人の手で検証されなければならない。

劇団チョコレートケーキの戦争6編のどの作品にも、この思いがある。過去を変えることはできなくても、未来を変えることはできる。そして未来を変えた結果、過去が変わることだってある。

私の代わりに、君たちがアジアの未来を見届けてくれ。

舞台冒頭とラスト、舞台のど真ん中に空の椅子がある。そこには、誰が座っているのだろう。誰が座るべき場所なんだろう。

私がそこに座っていたら、どう考え、どう行動したのだろう

今日も人が死ぬ日にて候。

死ぬことは、生きること。

「死」とは、ポジティブな連鎖であり、「食べる」とは、死への一歩でもある。戦場日記には、「徴発」した鳥や豚で作った飯の描写も多々出てくる。

今日もまた、食べ、今日もまた、死に近づく。そのどちらも失ってしまったら、人は人でありえるのだろうか。

先日の劇団イキウメ「天の敵」鑑賞時にも、そんなことを思った。本作でも、「連鎖」について考えた。過去からの連鎖。未来への連鎖。その連鎖の中で、思考停止に陥ることだけは、なるべくすまい、と。

配信は、来月16日まで。部屋を真っ暗にして観ることを、オススメします。

過去作品はこちら。「追憶のアリラン」と「帰還不能点」は配信作品に含まれています。

明日も良い日に。

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