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【曽我事件とは】 大河ドラマ 「鎌倉殿の13人」 第23話

稀なる美談として、末代までも語りつごう。

源頼朝

曽我兄弟の討ち入り、こう来たか!の回でした。

「おんな城主直虎」の正次の最期を彷彿とさせる、伝聞史実を曲げることなく、裏の余白を拡大解釈していき、更にそれを今後の全てに繋げていく。三谷幸喜さんの頭の中を覗いてみたい。どうしたらこんなに大量のパズルのピースを上手くはめていけるんだろう。

前半は、楽しい楽しい巻狩りの巻。るんるん猪を追う和田殿やら、「動かぬ」鹿を用意する茶番やら、「成長著しい金剛」と一緒に成長している鶴丸やら、笑い多めのほほん展開。

そこに比奈ちゃんまでやってきて、あらまあ勢揃い、なんて思っていたら、実は彼女がいることが曽我の仇討ちに繋がっていく

その比奈ちゃんときたら、鹿のフンを素手でむんずと掴んで平然と説明を続ける、アシリパさん風味のお姫さま。強いお姫様は、可愛い。

ゆっくり背中を… 向けないで。

義時とも、すでに夫婦漫才の阿吽の呼吸ができているw

先週に引き続き、工藤はすっかり頼朝に気に入られている。更にその己の立場を盤石にする為、比奈ちゃんとの間を取り持とうとする工藤。頼朝の身代わりになって、藤九郎の目を欺く。偶然その1。

お前と女を取り合うのはもうごめんじゃ。

亀の前の時と同じく、夜這いで留守だった為、命が救われる頼朝。ついでに義時と比奈の間接的なキューピッドになる。偶然その2。

身代わりで寝ていた工藤を、頼朝だと思い込み、ちゃんと確認をせずに謀反は成功したと信じ込む五郎。うまいことお髭も付けていたから、すっかり騙されてしまったのかも知れない。工藤の用意周到さが、頼朝にとっては吉と出た。

頼朝の寝所の外に首無しの寝巻き姿の男性の遺体があったら、そりゃみんな、頼朝が討たれたと勘違いするだろう。頼朝がたまたま代理を立てていたから、ちゃんと死体が残ることになった。偶然その3。

(謀反を装った)敵討ちは、誠に天晴。さりながら、恐れ多くも巻狩の場で騒ぎを起こしたことは到底許し難し。よって、斬首とする。

巻狩争乱の罪なんてヘボいことになったら、そりゃ五郎は無念だわ。でも大丈夫。あなたの仇討ちは、ちゃんと美談として歌舞伎等々で今尚演じられている!

(ちなみに私は曽我兄弟の仇討ちがそんなに美談だと思っていなかったので、今回の筋立ての方が腑に落ちた。真実とは、人の数だけあるものですby 整くん)

裁きを終えて表情を変えずに立ち去る息子を「お前… こええ…」と見守る義政パパの表情も、象徴的でありました。

鎌倉は私がお守り申す。

範頼

この一言だけだと、範殿の謀反とは思えないけれど、比企殿に唆された挙句、御所にまで連絡しちゃったら、そりゃもうアウトだ。

「死神」行家にそそのかされた義経の二の舞だなんて、範殿も爪が甘うござる。繰り返しになるが、ここ鎌倉では人を信じたお人好しからさっさと退場するルールになっている。

わしがなすべきことは、もうこの世に残っていないのか。

信心深い頼朝にとって、神の声が聞こえないのは精神的ダメージが大きかろう。疑心暗鬼を刺激されてもおかしくはない。そこへきて範頼の謀反の疑い。もはや何を信じればいいのか分からず、誰しもが怪しく思えて、次なる粛清へと向かうのか。

夜這いを次なる粛清ラウンドの火種にするとは思わなかった。こわ。

大筋は曽我の仇討ちなのだけれど、その裏で実衣ちゃんの心にも、黒いタネがすくすくと育ち始めている。

万寿の身にもしものことがあったら、次は千幡。

万寿のことを自慢しにきた比企殿が、政子に素っ気なくあしらわれる背後でほくそ笑む実衣の顔が怖い。

万寿が死んだら、我々が乳人を勤めている千幡が… と気づいてしまった時の、完全にいっちゃった目はもっと怖い。

話の軸足が、源一族から、いよいよ北条一族に移ってきた感がある回でした。

ところで… 脚本以外で、今回すごいと思ったことがもう1つ:久しぶりのがっつりチャンバラシーンから比企殿vs政子のすっとぼけ音楽まで、幅広い劇伴を次々と生み出す作曲家のエヴァン・コールさん!

劇伴でシーンの印象が見事に色鮮やかになっておりました。凄い。

明日も良い日に。





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