【生きたい、とは】 劇団チョコレートケーキ 「生き残った子孫たちへ 戦争六遍」 <ガマ編>
劇団チョコレートケーキの「生き残った子孫たちへ 戦争六篇]が第30回読売演劇大賞に選ばれました!ヒューヒューどんどん!
アンコール配信が3月19日まで延長されたので、夏に見逃した「ガマ」をチョイスして視聴。
総論:しんどい。
沖縄戦、どう描かれていてもキツいのですが、これもまた相当にしんどかった。
内容も当然しんどかったのだが、もしかしたら一番しんどかったのは、私の年齢が、ガマに身を寄せる沖縄の少女側ではなく、その少女が「お国のために死ねることは、日本国民として当然のことです」なんて、ハキハキと言い続けるよう仕向けてしまった大人側にすっかりなってしまっていることに、改めて気付かされたことかも知れない。
日本人として見られたくて、立派な日本人になろうとする沖縄人の心を、本土の人々は利用した。
だから、沖縄の人たちは犠牲者だ。
それでもひめゆりの少女は、頑なに洗脳教育の内容を軍人や先生などの大人たちに振りかざす。お友達はみんな立派に死んでいったのに、私だけ生きたいと願ってもいいのか、と。
少女に自分たちが行ってきた教育まざまざと突きつけられた先生は思う。自分の生徒たちに死ぬな、生きろ、と言ってあげられなかった自分が、生きていいのか、と。
負傷した日本軍将校は思う。部下を死線に率いた自分が、生きていていいわけがないと。
一兵卒らしき2人は思う。絶対に生きて本土へ帰るのだ、と。
米軍に包囲されているガマに、たまたま同じタイミングで逃げ込むことになった、運命共同体のような6人なのに、其々の思いは全然違う。表面化した言葉と、心の奥底に秘めている思いも違う。
何通りにもある思いが交差し、擦れ合って摩擦を起こし、最後の「少女への思い」即ち、次世代への思いに繋がっていく。
おじいのこの言葉に、皆の心が少しずつ解けていく。
生きていてもいいのか。生きたいと思っていいのか。明日を迎えたいと願っていいのか。皆の屍を超えて。
精神的に健康な時に、ぜひ見て欲しい。
戦争六遍に含まれている他の作品感想noteはこちら。
戦争六遍には含まれていないけれど、戦争も関係しているし、名作だと思っている「治天の君」。また再演して欲しい。
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