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134/365 【一人スタオベ】 zoomでお芝居 「12人の優しい日本人」

1957年のシドニー・ルメット監督作品「12人の怒れる男」へのリスペクトから、1990年に三谷幸喜さんが東京サンシャインボーイズに書き下ろした「12人の優しい日本人」

その後映画化もされた作品が、zoom生配信で復活する!しかも、出来うる限り初演の役者さんを集めて!

このニュースを見つけたのが生配信3日前。忘れないようにカレンダーに入れ、タイマーを設置し、当日は開演のベルが鳴る前に着席した。

てれんと座って近藤さんの前説を聞いていたら、まさかの三谷さん乱入に思わず居住まいを正す。そういえば、東日本大震災の数日後に旧パルコ劇場でお芝居を再開した時も、三谷さんは前説を取っていた。

その後一旦緞帳が降りてから、本番が始まった。

ただのリーディングなどではない、ガチのお芝居だった。

zoom利用なので、基本はバストアップだけ。これは皆で大きな机を囲んでいる図なのだと脳みそが勝手に補完する。

途中で下を向き始めた人は「甘栗をむいていた」ことがやり取りで分かる。机の真ん中にたんまりと置かれた「剥いてくれた甘栗」の山を、律儀な脳みそは補ってくれる。

延々発言しない、視線を一切合わせない人は、机の下で漫画を読んでいたことも分かる。漫画は見えない。だって机の下だから。でもきっとあれはビッグコミック。ゴルゴ13のファンっぽいもの。今頃休載に胸を痛めているに違いない。

飲み物を回すのも「自分視点」ならこう見えるという絶妙な間合いだし、マーカーの受け渡しも成立していた。だって普段の生活でマーカーを渡している様子なんて、まじまじと見ないもの。視界のすみで確認する程度だろう。

脳みそは、情報の断片から画面外の空白を次々と勝手に補完してくれる。こんなAI機能を生まれながらに搭載している人間って、すごい。(人工じゃないとか言わないで)

2時間半という長めのインターミッション後は、同じ劇場にいた先輩とFBという名の別バーチャルロビーでちょこっと言葉を交わし、2幕前にしっかり携帯を切る。

1時間後。

少しとぼけたピアノの音と共に役者が順番に紹介された後、緞帳が降りる。

お部屋劇場で一人スタオベだった。片手に持ったビールグラスを掲げて。

当初生配信のみとされていたのだが、アーカイブが残ることになった。

だが、生配信のみだと思い込んでいて良かった。

集中力が違うのだ。お家にいながらにして、劇場マジックがかかる。

DVDを見るにしても、今回様々な主催者のご厚意で提供されている期間限定配信にしても、なるべく一気見を心掛けている。

でも、いつもうっすらと思っている。途中でお手洗いに行きたくなったら止められる。ピンポン鳴っても大丈夫、と。

その分集中力はやはり弱まる。

それが、一回限りだと思うと心持ちが変わる。相手も一発勝負だが、観客にとっても一発勝負。均等になる。

zoomのディスプレイに、12人の顔が常時写っている。喋っている人はもちろんだが、喋っていない人のリアクションも、少しの身じろぎも、視界の隅で捉えられる。見逃すまい!とさらに集中力が高まる。

開幕直前のベルで、日本のあちこちのお家劇場のドアが開く。同じ瞬間に息を飲んだり、涙したりする。お家ロビーで、観劇後のわちゃわちゃをする。

こういった試みがきっかけで、お芝居に興味を持つ人が増えたらいいなあ。

明日も良い日に。

前半はこちら。

https://www.youtube.com/watch?v=3e2aKThmhXM&feature=emb_err_woyt

後半はこちら。

https://www.youtube.com/watch?v=ZDagy7MmFhY&feature=emb_err_woyt

トップ画像は、見たらきっと食べたくなるピザ!このピザについてもまた別途。






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