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グラストンベリー Part 1

10年以上前にテレビでグラストンベリー・フェスティバルの生中継を観た。こんな面白そうなフェスがあるのか、と興味が湧いたが、いかんせん遠い。いつかいつかと思っていながら、いつの間にか忘れていた。

今年、ロンドン滞在の最後に3日間、ぽっかりと空いた。どこへ行こうかな、と考えた時に、ふと思い出した。そうだ、グラストンベリーへ行ってみよう。

Paddington 駅からCastle Cary駅まではGreat Western Railwayで100分くらい。

なーんも無いw この駅でピックアップしてもらい、ストーンヘンジを経て、グラストンベリーへ向かう

列柱自体が、巡礼者のように見えるストーンヘンジ。何らかの儀式用だったのだろうけれど、未だ謎は多い。4000年以上前に、ここでは何が行われていたのだろう。レーダー技術の発達により、周辺には新たに「スーパーヘンジ」なるものも見つかっているらしい。技術の進化は、遺跡の歴史も進化させる。

ぐるりと回って一路、グラストンベリーへ。

今回のお宿。可愛くて清潔で、宿主も親切で、本当に居心地が良かった。朝食のスクランブルエッグが、人生でも1、2を争うお味だった。写真撮り損ねた私のばかばか。

宿から歩いて15分でGlastonbury Torの頂上に登れるというので、早めの夕食を済ませ、9:20PMの夕陽を目指して登り始めた。

360度どちらを見ても、牧草の薄い緑か森の濃い緑ばかり。グラストンベリーの赤い屋根群がその中で目立つ。吹きっさらしのTorの丘の上には、聖ミカエル教会が佇んでいる。

中から見上げるとこんな感じ。天井が無い。異教徒の教えを封じ込める為に建てられたという教会は「異界への入り口」とも呼ばれている。

ただただボーーーーッと夕焼けのカクテルスカイを眺めていた。

翌日は、町散策。まずは、グラストンベリー修道院へ。

アーサー王のお墓があった跡。えっらくシンプル。ヘンリー8世の修道院解体の際、アーサー王のお墓も解体されてしまい、そのままなのだとか。

廃墟の周りの芝生は、とても丁寧にケアされている。ふっかふかの芝は適度にひんやりしていて、風に鳴る梢の音以外は、ほぼ何の音もしない。昼寝し放題。

そこからWearyall Hillへ。

アリマテアのヨゼフがイエス・キリストを連れてこの地に降り立った、とも言われている。旅に疲れたヨセフが手に持っていた杖を大地に刺したら、杖がそこに根付き、サンザシ(Thorn)の大樹となったそうだ。実際、この木の遺伝子は、イスラエル付近由来のもので、樹齢は約2000年。

残念ながら、この聖なるサンザシ、2010年に何者かによって枝を全て切り落とされてしまった。だが、残された幹から接ぎ木した子孫は、何箇所かに植えられ、今も花を咲かせている。クリスマスにこの枝を一振り、女王に送る習わしは、17世紀から現代に至るまで受け継がれている。

ここからは、Torも修道院も見える。一旦降りて、Torの麓のChallis Wellへ。

秘密の花園みたい。Heavenlyとかdivineとか、sublimeという単語が頭に浮かぶ。パプアニューギニアどころの話ではない。天国に一番ちかい島はここ、アヴァロン島に違いない。(注:個人の感想です。)

2000年以上も湧き続けている聖なる水は、その水に触れた大地が赤く染まることから、「赤い泉」とも呼ばれている。

途中のライオンズヘッドから流れてくるお水は今でも飲める。ペットボトルに入れて飲んでみた。鉄分がかなりキツく、たくさんは飲めない。

ライオンズヘッドまでは聖杯が伸びている。前出のアリマテアのヨゼフが、磔にされたイエス・キリストの亡骸を引き取った際、流れる血を受け止めた聖杯をこの地に持ってきた、という伝説もあるが、別の言い伝えによれば、ヨゼフは、最後の晩餐で使われた聖杯をイエスの亡霊から受け取り、ブリテンに運び、この地に埋めた。そこから泉が湧き出し、埋められた伝説の聖杯を求めてアーサー王と円卓の騎士たちはこの地を目指した、とも伝えられている。ヨゼフ、時空を超えて大活躍である。

向かいには、Angel’s seat。ジョンレノンが「イマジン」のインスピレーションを受けた場所だとか。

その上の、Head Well。ここに座ってぼんやりしていたら、ポロポロ涙が出てきた。隣に座っていた人が、ふんわり笑いかけてくれた。大丈夫、だいじょうぶ、とでも言うように。この一角はサイレントコーナーなので、誰も言葉は発しない。でも、みんな、静かで、にこやかで、平らか。癒しの空間が無限に広がっていた。

長くなったので、後半へ…


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