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【豊かさとは】 旅の終わりに辿り着いたチチカカ湖で、心と身体の豊かさに思いを馳せたこと(ペルー旅行記1)

旅人でありたいと思うようになったのは、いつ頃からだろう。

旅の連続のような人生を送っているけれど、今回の旅は、とても大きな転換点だったとずっと後に振り返って思い出す。そんな気が、今はしている。

羽田からロス(9時間)
ロスからリマ(8時間)
リマからクスコ(1時間)
クスコからプーノ(バスで11時間)←え

「母を訪ねて三千里」のマルコたるや!の如き気が遠くなるような旅程の果てに、ようやくたどり着いたチチカカ湖。

ペルーの長渕剛によるウェルカムソング
虹!ってこの色はどう見ても海なんじゃが
段々畑。真水だから、水辺でも大丈夫なんだよね。

ペルーとボリビアの国境を跨ぐチチカカ湖は、標高3800mにある古代インカ帝国発祥の地とも言われている。湖には大小多くの島があるが、その中に、タキーレ島という、今でもケチュア語を話し、ケチュアの生活様式そのままで暮らす人々の島があり、ユネスコの世界無形遺産登録もされている。

歓迎の舞。参加したけど、海抜3800メートルでの舞は、高地トレーニングだった!

プーノから船で1時間半ほどのこの島は、ナショナルジオグラフィック誌の「世界の人々がその生活様式を見習うべき7つの島」の1つに選ばれているとか。(該当する記事は見つからず)

ケチュアの法律は、三つ。
怠けない
嘘をつかない
盗まない

靴底リサイクル!

この島では、編み物は男性の仕事。怠けないの法律に則って、腰掛けて井戸端会議をしてる時も、手はずっと動かし続けている。6歳から手ほどきを受けたおかげで、手元を殆ど見ない。その仕事の細かいこと!

それもそのはず。男性は、女性の父親に結婚の承諾を得にいく際、自分で編んだ帽子を持参する。その帽子に父が水を注ぎ、一滴も漏れなかったら、娘を嫁に出すことを許す。水が漏れたら、出直してこい!となる。

実際その帽子を見せてもらったが、火の光すら通さない、細かく編まれたものだった。水すら漏らさない毛織の帽子って、存在するのか… これがハンドメイド… すげえ。

水も滴らない帽子で第一段階突破だが、その後、2人は2年の同棲期間を経る。その間に何か思うところがあった場合、合意のもと、婚約を解消することができる。同棲期間に女性が妊娠した後、婚約解消した場合は、その赤ちゃんは女性のご実家で引き取り、女性の兄弟として育てられることとなる。

結婚の意思が揺るがない場合は正式に結婚に至るが、その場合は、一生一緒。離婚は許されていない。

結婚の証に、男性は女性の髪の毛を織り込んだ葦のベルトを織る。これと、女性による、より装飾性の高いベルトを合体させることで夫婦の絆を表す。男性はこのベルトを生涯身につけて働くこととなる。

馬やロバなど、荷駄を扱える動物が島にはいない為、重い荷物を運ぶ際、腰を支えてくれるベルト(に織り込まれた妻の思い)に手をやり、先に進む原動力にするそうだ。

島のリーダーになるのは既婚男性で、今のリーダーも結婚した暁に指名された。リーダーの仕事は、主に2つ。観光客から入島料を頂き、管理することと、島の働き手が病気や怪我で働けなくなった場合、その穴埋めにいくこと。複数人が同時に病気で倒れた場合は、1日の時間を各家庭に均等に振り分けて、手伝いに行く。常にフェアネスが心がけられる。

共産主義が理想としていたのは、きっとこういう社会だろう。ただの理想論だと思っていたが、それを実践しているコミュニテイが実在することに、びっくりした。

タラ。その上は、キヌアスープ。ペルーは、スーパーフードのキヌアの一大産地!(最大はボリビア)
旅行中、スープはもちろん、サラダでもクッキーでもよく食べた!
この程度の坂でも、息が上がる

地産地消の食事、足腰に頼る生活。誰しもが嘘をつかず、全てが平等で、全員の努力がコミュニティに循環される生き方。この島の住人は、みな長寿で100歳の方々も多い。

何度も言いますが、これ湖…

みな、心穏やかで、声が小さく、笑顔で溢れていた。

太陽光パネルで電気も供給され、スマホも使われていた。テクノロジーを否定しているわけではないのだ。

仁王立ちアゲイン。水温12度。つべたい。でも浄化効果大。

ボリビアからペルー側に出稼ぎに来る人も増えており、プーノの路上で燃料を販売している人も多い。ボリビア価格の6倍で売れるそうだ。住民の数もここ数年で倍増し、新興住宅地が立ち並ぶあたりの水質は悪化している。

トトラという葦で作られた浮島、ウロス島
ここには6家族が住んでいる。親族だけというわけでもないらしい

他の民族に襲撃され、湖に逃れ住んだと言われているウロス島の人々の公用語は、アイマラ語。同じ湖なのに、言語も文化も違う。面積8300㎢(琵琶湖の12倍)の不思議。

ケチュア民族は長く差別され、都市部では、その言葉を話せることを恥と思う人々も多いそうだ。こうして、言葉狩りと文化狩りは進んでしまう

タキーレ島やウロス島の辺りの湖の色と、ホテルがある湖畔の水の色は雲泥の差だった。自然は、いつか人間に愛想を尽かしたりしないのだろうか。

プーノ湖畔に広がるイチュの草原。「その者青き衣を纏いて… 」が脳内をぐるぐる
龍雲
夜景。星も綺麗

いきなりプーノから始めてしまったけれど、ここまでの道のりもドラマチックだった。

次回は、ハイラム・ビンガム(マチュピチュを発見した探検家)の気持ちを追体験した(?)リマからマチュピチュへの道のりに遡ろうと思う。

明日も良い日に。




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