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193/366 【ヒヨコの学校】 教えることと学ぶこと

zoomで英会話を教え始めて3ヶ月が過ぎた。

コロナ禍がなければほぼ確実に始めなかっただろう。

前々からふんわりと依頼はあったが、人に教えるなんてそんなそんな恐れ多すぎますやん、て逃げていたのだ。

それをなんとなく始めて見た。

時間がぽっかりと空いたのも要因の1つだが、一番大きい要因は、飛ぶなら今かな、みたいなものをぼんやりと感じたからだった。本当に、なんとなーく始めた。

同時通訳をしていても、そのものズバリ、の言葉が一瞬出ないことがある。でも言いたいことも意味も分かる。その場合、そのイメージを元にして別の言い方を瞬時に考える。

例えば何かの文脈で、laryngitis(喉頭炎)という言葉が使われたとする。itisだから何かの炎症。larynは喉、というところまでは分かるけれど、ぴったり訳語がパッと出ない。

この場合、「喉を痛めて」という言葉が出れば、すんなりと話は通じる。喉頭炎の学会だったら、その言葉に詰まるのは事前の勉強不足でアウトだけれど、全然違う話の中で出てきたのなら、(そして事前に準備できないような文脈ならば)ここまで出せれば問題はない。

この類の、イメージを元にして別の自分のストックしてある言葉を使ってなんとか表現する、という行為を通訳者は無意識に繰り返し行なっている。

これを英会話のレッスンでも応用している。会話を続けていく中で、生徒さんが単語で詰まった時、何が言いたいか、どんな光景を伝えたいのかをまずはイメージさせる。そのイメージのピントが合っていれば合っているほど、代理で選択する言葉の精度が増す。

例えば「防波堤」が言えなくても、それがどんな姿でどこにあるのか、をイメージできれば、「海辺に立ってる壁」=seawall までたどり着くことができる。または、「波から守るもの」から攻めるなら、high wave protectionくらいまでいければイメージは共有できるから、話が繋がる可能性は高まる。相手から正解を引き出すこともできる。

漢字のイメージを使うのもいい。「草原」って「草」が入ってる。それは何ていう?grass。OK。グッド。その草が生えているのは何?大地。OKグッド。それ英語で言ったら?っていう風にヒントを積み重ねていって、grasslandまでいければ正解。

「緊急事態宣言」みたいに漢字がたくさん並んでしまうと思考停止になってしまいがちだけれど、これも「緊急」「事態」「宣言」と分けてしまうと、簡単な言葉を並べれば大丈夫になる。ついでに全部を名詞に入れ込まなくてもいい、大事な言葉はどれ?「緊急」それを何したの「宣言した」それなら英語で言えたりする?(declare a state of emergency)が正解だけど、emergencyが出れば、あとはdeclareに代わる何かが言えれば、まあオッケー。今だとロックダウンという言葉はカタカナで何度も触れているだろうから、そこに逃げてもオッケー。

答えは一つじゃない、を知ってもらうのが大事なのだと思う。

この人と話をしたいとか、この人にこれを伝えたい、という生徒の思いをまずは大切にし、伝えたい自分を諦めない、という粘り強さも伝えられたら、なんて思っている。

伝えたい思いがあれば、聞き手はなんとか相手の思いを掬い取ろうと自然に身を乗り出してくれるものだし、そのものドンピシャな言葉が例え出なくても、ヒントとなる言葉を出す粘りがあれば、相手は連想ゲームのようにこちらの意図を想像してくれるようになるものだ。

そうやった後の「伝わったーーー!!!」っていう成功体験を積み上げていけばいいだけなのだと信じている。

まだまだ私も手探りだけれど、生徒の発想の飛ばし方には毎度毎度感動すら覚える。

教えることが最大の学びだ、とは良く聞く言い回しだけれど、それをこんなに痛感する日がくるなんて思わなかった。

伝えるって面白いし、伝わるって感動するんだ。

写真は、私が訪れた中で一番の辺境にある学校。パプアニューギニアの山の中でした。

明日も良い日に。



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