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【接木とは】 鎌倉投信「いい会社訪問」 経営者講演 - ベルグアース株式会社さん

久しぶりに、鎌倉投信さんによる「いい会社訪問」オンラインに参加してきました。今回は、愛媛県宇和島市に本社のある、ベルグアースさんです。

苗で日本の農業に改革を

こんな言葉で始まった講演は、山口社長のお人柄に心がフルフルし通しの1時間半でした。

飯を作っている農家が、飯を食えない。これはおかしい。農業で飯が食える世の中を作りたい。

こんな思いの原点となったのは、小学生の時に育てたトマトの双葉が開いた時の感動だそうです。トマトの双葉が芽吹いた音に心を震わせ、学校のみんなに伝えたいと思った社長の心は、今でも生命と共に脈打っている。

トマトの双葉はおろか、花さえもちゃんと見たことが無いし、ミニひまわりを含め、育てている花の双葉が出てきた時の感動は覚えているけれど、その時の密やかな「音」など、全く覚えていない。感動は、周りに溢れている。こちらがそれに気付かないだけで。

食を支えながら、皆さんに豊かな暮らしをお届けする。

そのために、さまざまな苗を開発しておられるのですが、まず、接木苗の台木と、穂木が違う植物であることにびっくりしました。

例えば、実を鳴らす穂木がきゅうりでも、その土台部分となる野菜の苗の台木は、殆どがかぼちゃだそうです!カボチャの台木が一番強いからだそうです。その結論に至るまでに、どんな台木を試してみたのだろう。興味深い。

他にもヌードメイク苗という苗も開発しておられます。これなんと、根っこがないのです!根っこ部分をバッサリ落としてスッキリしているから、コンパクトな分輸送費も安くなるし、現地に到着した後に土地に植えれば、地域の特性に合わせて、植物は根を出せる。植物の順応力すごい。そしてそこに目をつけて開発した研究者さん、すごい。

しかも、これらの苗は、オーダーメイド!タネから育てようとすると、生産量の見通しが難しいけれど、苗なら収穫の見通しが立ちやすいから、農家さんは事業計画を立てやすくなる。本数指定でオーダーできれば、不透明要素はさらに少なくなっていく。

また、苗のワクチン開発もしておられるとのこと。植物も、コロナ禍の人間と同様、ウィルスにかかってしまったら、なす術がない。だから、感染を防ぐためのワクチンが大切。しかも育つ前の苗の状態でワクチンを撒いておけば、育っていく中で、薬品度合いは薄れていく。収穫直前に薬品を撒くより、人間が口にする薬品の量が減るのは自明の理。

世界でも植物用のワクチンを作っている会社は少ない上、ベルグアースのワクチンは、天敵を殺さない。要は、周りの生態系への介入がとても少ないワクチンだそうだ。これは、世界中に欲しがる人がいそう。

興味深い話題が盛りだくさんだったのだが、冒頭に書いた通り、一番の魅力は、山口社長のお人柄だった。

(試行錯誤を)寝ずにやってた。寝るけどね

可愛いw

宣伝になったなあ、困ったなあ。

宣伝する場です、いいんです、正しいので、困らないでくださいw

接木とは、古来から存在する技術。日本にはそういう技術がたくさんある。誇りに思うべき職人さんや、彼らを率いている社長もたくさんいる。

失敗させないように、ではなく、失敗をいくつ重ねるか。

走る前から、「転ばないように」という意識ばかりが先行したら、走れない。そうじゃない。走っていい。走ってみたらいい。そして転んだら、なんで転んだかを考えてみたらいい。

社名の由来は、ドイツ語で「山」(山口社長の、山)という「ベルグ」と、英語のアース。アースには、大地という意味も、地球という意味もある。グローバルなアグリベンチャー企業として、世界に打って出る思いが込められている。社名にまで、言葉の接木が成されている。

今年参加できた「いい会社」経営者講演は、ここと、亀田製菓さん。どちらも「食」がテーマだった。

農業を見直す時期が来ているように思う。それに、来年は少し貢献していけたら。

明日も良い日に。

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