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dot_haraiの2022音楽年間ベスト(推薦曲動画・プレイリスト付き)

毎年恒例のお楽しみ開陳。そう、数多ある新作に聞ける範囲で手を伸ばし、自分にとってのベスト足るものを選び、その時点で納得行く並びか直前まで考え抜き、動画選ぶ際・発表直前でもあれがいい、これもいいと悩む行為が楽しいのです。

いつの間にか10年以上やってました。
たまに振り返っては何でこれ選んでたんだろう、というのもありますが、それも含めてのお遊びです。過去履歴はこちらからどうぞ。

2022年リリースのタイトル(EP含む)から特に良かった、また聞きたい50枚を選出しています。
洋邦ワールド混じり、バラバラジャンルなのは予めご了承ください。

一応順位付けしていますが、発表時点のものになります。
明日には並び変わるかもだけど、順位の上下で大きく価値が変わるわけではない、自分にとって今年を代表するタイトルたちを選びました。
最近は1位から発表してましたが、今年は50位から並べてます。

手前勝手なチョイスの中から読んで頂いた方にとってもし良い発見があったのなら、それは大変な喜びです。何かしらあればいいな。
それぞれに簡単な紹介とSpotifyリンクにYouTube動画を付けています。
やたらと長くて恐縮ですが、最後には推し曲をまとめたプレイリストをご案内しています。
途中途中聞きながら、またまとめて聞いてみてください。


番外.Bunga Bangsa「Prahara Rusaking Jagad」

番外として1つだけ。
インドネシアの10代女性ドラマーによるガムランプログレメタル。
伝統音楽やインドネシアの文化を自分と同世代に届け、関心を持ってもらうことを課題としているそうです。
アルバムは未リリースですがこれからに期待。

ドラムカバー動画を色々アップしていて、最近はベビメタなんかも。


では50位から。

50.Gang of Youths「angel in realtime.」

オーストラリアで人気のU2直系ロックバンド。
こういう真摯で真っ当なサウンドが支持されているのはなんだか嬉しくなります。


49.AFJB「AFJB」

ラッパーJUBEEとロックバンドAge Factoryのコラボユニット。
Dragon AshやMAD、RIZEなどを思い起こさせる、勢い満点のミクスチャーロックど真ん中。
潔いです。


48.Carabao「40 Years Khon Carabao」

40年活動しているタイの大御所ロックバンドの29枚目アルバム。
タイのサザンと勝手に思っています。
毎度変わらず渋い貫禄や哀愁が魅力的です。


47.Fanfara Station「Boussadia」

イタリアを中心に活動する多国籍トリオ、メンバーのルーツを探求する三部作の一作目。
チュニジア伝統音楽の打楽器とリズムに電子音、トロンボーンの響きが合わさってシンプルなのにパワフル。


46.Avalanche Kaito「Avalanche Kaito」

西アフリカ伝統音楽、グリオの音楽家とベルギーのアングラミュージシャンが組んだノイズポストパンクバンド。
尖ったサウンドと瞬発力あるボーカルがかっこいいです。

前EP曲のライブ動画。


45.Scoobert Doobert「KOAN」

カリフォルニア・サンディエゴ出身の音楽プロデューサーのソロ作。
CHAIのプロデュースで名前を見て興味持ちました。
日本語も操るエレクトロポップは不思議な浮遊感あり、そのクセが面白い。


44.ウ山あまね「ムームート」

長谷川白紙や諭吉佳作/menがアンテナに引っかかる人に刺さるのでは。
歪な音たちがコラージュされた快楽的ハイパーポップサウンド。


43.The String Cheese Incident「Into the Blue」

ベテランジャムバンドの4曲EP。
それぞれにチーズらしさがしっかり反映されていて満足感あり。
特に「Hi Ho No Show」は1曲内によくぞここまで気持ちよさ詰め込んだものだと感服です。


42.蒼山幸子「Highlight」

ねごと解散後のソロ1st。
後期ねごとの延長的なエレクトロポップで、秀逸なソングライティングは変わらず。
柔らかみが増した印象があります。


41.Asian Glow「Stalled Flutes,means」

韓国エモアーティストのソロプロジェクト。
昨年アルバムが良かったParannoulとのコラボも今年出していますね。
ドラマチックなメロディーに轟音と静謐の足し引きで情感高まります。


40.Uztama「風が凪ぐ」

情報がほとんど探れなかったけど、気鋭トラックメイカーの1stアルバム。
ハイパーポップサウンドにノスタルジックなエモが詰まってて隙の無い作品です。

このシーンではInuやquoreeなども気になる存在です。


39.Wu-lu「LOGGERHEAD」

サウスロンドン発の重々しくざらついたジャンルレス混沌アルバム。形容し難いですね。
Southの初聴き時は、この曲どうなっていくのかとワクワク感たまらなかったです。


38.Wesli「Tradisyon」

カリブ海ハイチの音楽家。
ハイチ伝統音楽総括するような作品とのことですが、レゲエやアフリカのグリオにヴードゥーな感じ、南米のフォルクローレやクンビアとの親近感を覚えるような曲なんかもあり、とても豊かな音楽文化と感じます。


37.VRi「Islais a genir」

ウェールズのフォークソング弦楽トリオ。
コーラスと弦楽器の美しい響き、また清涼感ある高揚が心地よいです。


36.Stromae「Multitude」

ベルギー出身、ルワンダをルーツに持ち、音楽家だけでなく作家やデザイナーとしても活動する才人。
前作から9年ぶりのアルバムは、タイトル通りバラエティ豊かで多様性に溢れた曲が揃っています。


36.THE SPELLBOUND「THE SPELLBOUND」

BOOM BOOM SATELLITESの中野氏とTHE NOVEMBERの小林氏によるバンド。
この組み合わせどうなるんだろうという期待と困惑・不安があったものの、それらを吹き飛ばす強度のエレクトロロックが並び流石でした。


34.湯木慧「W」

大分出身女性SSWのデビュー5年目にして初のアルバム。
現時点のベスト的な内容です。
一曲一曲のストーリー性が強く、聴き応えあります。


33.Lack the Low「God-Carrier」

オーストラリアの女性音楽家による実験的ポッププロジェクト。
高い歌唱力とプログレ的とも思える複雑な展開が交わって神秘的な印象を受けます。


32.Sharon Van Etten「We’ve Been Going About This All Wrong」

米女性SSWの6作目。
時代を表すような重たい雰囲気のオープニングから閉塞感を払う力強さを感じる構成が頼もしく感じます。


31.羊文学「our hope」

3ピースオルタナロックバンド。
個人的に「1999」以降でビビッと来る曲がなく歯痒かったですが、「光るとき」は問答無用に今年のアンセム的存在となりました。


30.Tim Bernardes「Mil Coisas Invisiveis」

サンパウロのバンドO TERNOのボーカルソロ作。
ローファイな浮遊感とトロピカルな心地よさにとろけます。


29.Tulus「Manusia」

インドネシアを代表する歌手と言われるTulus。
今回初めて聞いたのですが、爽やかな歌声と、嫌う人はそういないんじゃないかというくらい完成度高いポップスでガッチリ引き込まれました。

過去に出した日本語曲。大変失礼だが、予想に反して良かった!


28.ハンバート ハンバート「丈夫な私たち」

大好きな夫婦デュオ11作目。
夫婦として困難を乗り越えてきたたくましさや骨太さ、力強さを感じるような楽曲がより多い印象です。


27.七尾旅人「Long Voyage」

メッセージ高い歌を届け続けてきたSSW。
今作もコロナ禍での自身の活動を反映した優しい眼差しの曲が染み入ります。


26.Okra Playground「Itku」

フィンランドの伝統音楽を現代的なアプローチも加えて届けるユニットの3作目。
神秘的で幻想的で更に疾走感あって、とたまらない作品です。

今作収録曲じゃないけど良いです。


25.Big Thief「Dragon New Warm Mountain I Believe In You」

米インディーロックバンドの5作目。
これまでの作品にはピンと来てなかったのですが、純真無垢さや牧歌的な温かさ、包容力に惹かれました。


24.Manuel Linhares「Suspenso」

ポルトガルのジャズSSWの3作目、ブラジルAntonio Loureiroプロデュース。
スーッと波紋が広がっていくような心地よい開放感と瑞々しさが素敵です。


23.Rafael Martini「Martelo」

ブラジルのピアニスト・編曲家。
5曲入りながらどの曲も7分以上と長く、1曲目に至っては13分と長大ですが、冗長さを全く感じさせない多彩な展開にワクワクさせられます。

数年前の1曲目動画ですが既に完成度高いですね。


22.柴田聡子「ぼちぼち銀河」

デビューアルバムから10年の年に出された6作目。
一見地味そうですがしなやかな強さあり、決してタイトル負けしてない広がりを感じさせてくれる作品と思います。
「雑感」はパンチラインてんこ盛り。


21.ずっと真夜中でいいのに。「伸び仕草懲りて暇乞い」

これだけコンスタントに新曲出しておきながら、まだまだ出てくる引き出しに驚かされます。
「あいつら全員同窓会」なんて、完璧に思えたデビュー曲に比肩するレベルに大好きです。
盛り上がるサビのジャンプに〆のラップパートの情感、是非現場で体験したい曲ですね。

出たばかりの新曲もまた最高です。


20.The Comet is Coming「Hyper-Dimensional Expansion Beam」

毎年様々な活動で興味惹く音を届けてくれるShabaka Hutchings。
今年はソロ作もありましたね。
大仰なタイトルとそれに劣らぬスペイシーなトランスジャズに圧倒されます。


19.Soul Glo「Diaspora Problems」

ハードコアパンクバンドの4作目。かのエピタフ移籍盤です。
グシャメシャサウンドと聞き取り困難なシャウトは強烈の一言ですが、時折見せるキャッチーな瞬間がきらりと光り、決して勢いだけでないと感じさせられます。


18.Tele「NEW BORN GHOST」

てらいない若さや勢いが詰まった男性シンガーの1stアルバム。
時折挿まる文学的表現や青い感情も魅力的で、これからの飛躍がめちゃ楽しみです。

今年前半はこのTeleやNee、cadodeにずっぽしハマってました。
それで昨年のベスト第1位時速36kmなど最近聞き始めた邦楽たちでまとめてみたらとてもいい感じのリストになりました。


17.Jasdeep Singh Degun「Anomaly」

北インド古典シタール奏者のデビュー作。
シタールの響きは優雅でどこまでも伸びていきそうな広がりがあり、時折聞かせてくれる荒ぶるうねりはスリリング。
古典だから古臭いとかいう印象は一切なく、純粋に美しさや儚さを備えた充実作です。


16.藤井風「LOVE ALL SERVE ALL」

曲順・展開ともに完璧でしょう。
この構成を成立させる曲が書ける藤井風、やはり恐るべしと戦慄の2nd。


15.Adedeji「Yoruba Odyssey」

ナイジェリアのシンガーによる、火傷しそうなハイカロリーの絶品アフリカンファンク。
前作はもっとスムースな印象だっただけに、この開き直ったかのような突き抜け方は大歓迎です。


14.サニーデイ・サービス「DOKI DOKI」

気負いないストレートなロックに突き抜けたポップス、スケールの大きさを感じる曲などなど大充実な14作目。
そしてラストのシリアスで一筋縄ではいかない感じも好きです。


13.Florence + The Machine「Dance Fever」

貫禄すら覚える英バンドの5作目。
アップテンポな曲が多く、覚悟を決めたかのような力強さに神々しさも感じます。


12.Gogol Bordello「Solidaritine」

ニューヨーク中心に活動するジプシーパンクバンド。
フロントマンのユージン・ハッツはウクライナ出身です。
昨今の情勢を反映し、怒りと切迫感が詰まったようなヒリつきがあります。

ウクライナのミュージシャンを今年幾つか知りましたが、こちらなどインパクト大でした。
ダークキャバレーというジャンルらしい。


11.Congotronics International「Where’s The One?」

コンゴ発のビリビリ電化アフロバンドと多彩なインディー・オルタナミュージシャン達が集結したスーパーバンド。
2011フジロック(Obrint Pas見逃しを未だに引きずっている年)のCongortonics VS Rockersは大興奮でしたが、まさか新しいプロジェクトでまた聞けるとは。
繰り返すポリリズム、押し寄せる恍惚感に飲み込まれます。


10.ザ・リーサルウェポンズ「アイキッドとサイボーグジョー」

80・90sカルチャーロックユニットのメジャー1st。
メタルやハードロックを基調にしつついろんな要素のオマージュが見られて楽しい。
その落とし込み技量は高く、コミックバンドと侮るには勿体ない存在です。
そして「雨あがる」など極致ですが、英語と日本語が混濁した歌詞の不思議な叙情性はもっと評価されていいと思っています。

2020年のベストで3位に選出した盤より「東海道中膝栗毛」。
PV含めセンス大爆発してる名曲です。


9.Gregory Privat「Yonn」

ドミニカやプエルトリコに近い、カリブ海仏領マルティニーク生まれのピアニスト。
キラキラした音の粒が美しく丁寧に紡がれていきます。
ボーカル曲も柔らかく、聞くごとに優しく洗われていく感じ。


8.浮「あかるいくらい」

「ぶい」と読む女性シンガーのソロユニット。
民謡や童唄のようにも聞こえる訥々としたフォークソングは、穏やかに包んでくれる心地よさを届けてくれました。


7.Balawan「Balawan Bumi Gamelan Orchestra」

インドネシアのギタリストとガムラン楽団のがっぷり四つ。
性急と弛緩を繰り返し、一気に煌めくガムランの響きは土砂降りスコールのよう。
そして速弾き、時にはブルージーなギターとの組み合わせに脳を揺さぶられます。
最早聞く度に笑みがこぼれるくらい今年ハマったタイトルです。


6.中村佳穂「NIA」

2018年のアルバムは当時の年間ベストで第1位にしてました。
そこから念願のライブを見ることもできたし、いろんなところにゲスト参加や昨年は映画の主題歌&声優活動もあり、なんだか3年半も待った気がしなかったですね。
リリース後待望の1曲目を聞いたときは跳ね回るフリーダムさにこれぞ最強と思い、大団円の表題曲にはさすがと圧倒され、当に期待を裏切らない内容でした。
羽生善治が将棋星人、大谷翔平が野球星人というコピペがありますが(元は地球代表側)、中村佳穂なら音楽星人も納得という思いです。


5.ROTH BART BARON「HOWL」

通算7枚目のアルバム。
前作収録の「BLUE SOULS」はA_oでポカリタイアップ付いたし、知る人ぞ知る存在からどんどん開かれたところに出ていくのを嬉しく思っていました。
ドラマタイアップもある今作ではこれまで以上に普遍性が生まれているようで、一つの到達点なんじゃないかと思います。

「MIRAI」は茨城県つくばみらい市のプロモーションソング。
御本人のコメントで巨人のような音楽ができたとあります。
「化け物山と合唱団」に「小さな巨人」という曲がありますが、あの全然小さくないじゃんというスケールの大きさを更に拡張したところまで行ってしまった、でも遠く手の届かないところに離れたわけじゃないという寄り添いも感じられ、なんだか感慨深いです。


4.Mickey Hart,Zakir Hussain and Planet Drum「In The Groove」

グレイトフル・デッド元ドラマーのミッキー・ハートとタブラ奏者ザキール・フセインが中心のワールドワイド打楽器アンサンブルプロジェクト。
15年ぶりの新作です。
異なる文化を一つにまとめてリズムを生み出すという試み、そのリズムの嵐に体と心が震わされると、音楽との一体感だけでなく自分の生命力の高まりまで感じる気がします。
あと転がり回るタブラの奔放な響きがやはり好きなんだなと再確認しました。

1999年のウッドストック、グレイトフル・デッドの曲をPlanet Drum編成で。
めちゃくちゃ心地好い〜。


3.M.M.Keeravani「RRR」

南インド・テルグ語映画(トリウッド)大ヒット作「RRR」ボーカル曲集。
これを入れるべきか大いに悩みましたが、今年を代表するトピックスとして外せませんでした。
最多脳内リピート曲はこの「Naatu Naatu」ですし。

勇んで臨んだ上映の3時間はとにかく濃密な体験が続き、インターバルの表示が出た時はまだ半分か!と驚嘆しました。
インド映画といえばダンスのイメージ強いでしょうがこの作品では劇中一箇所のみ、そしてそのダンスが強烈かつ超絶かっこいいので、未見の方は下の動画をご覧ください。
唐突に踊り出すのではなく、支配者への抵抗を描くシーンとしてちゃんと説得力あり。
他の楽曲も映画の内容に負けず劣らず壮大で、強靭なメッセージ性があります。
曲単体聞くのでもクオリティ高いけど、是非劇場の音響でストーリーと共に迫力を味わってください。

序盤屈指の名シーンもどうぞ。
まだまだ各地で上映中(福岡ではイオンやキャナル、キノシネマ)、発声可応援上映もあるみたいですね。
劇場で摂取すべき作品であること間違いないですよ。

因みにインド映画に興味持ったのはこちらのサントラに出会ってからでした。
ボリウッドのキング、シャー・ルク・カーン主演の「Om Shanti Om」よりボリウッドスター達が入り乱れて歌い踊る豪華シーン。
これぞエンタメ!と自信持っておすすめできる作品です。


2.春ねむり「春火燎原」

女性シンガーソングライター/ポエトリーラッパーの2nd。
海外メディアでも高評価を得ています。
ノイジーなパンク・ハードコアサウンドにビクッとするようなスクリー厶からは、ありありと立ち昇る苛立ちや怒り。
でもそれだけでなく、絞り出すようなポエトリーには、ただ吐き出すだけに留まらない抵抗や変革への祈りも感じました。
〆は終わるからこその生を高らかに、ポップに肯定する「生きる」。
通して、誠実かつ美しい作品です。

北米ツアーの様子。
2023年は日本含め色んなところのフェスを席巻してほしい。


1.寺尾紗穂「余白のメロディ」

女性シンガーソングライターの10作目。
効率や成果が求められる社会にあって、社会の、誰かの余白に自分も居ていいんだと思えるような穏やかな眼差しに救われる思いがします。
そして歌の力を信じさせられる「歌の生まれる場所」に収束する流れが素晴らしいです。

ラスト「Glory Hallelujah」はシンガーソングライター西岡恭蔵さんのカバー。
知らなかったけどめちゃくちゃ素晴らしい和製ゴスペルフォークですね。
奇しくも1位2位のラストが祈りと祝福の生命賛歌というのは、この時代ならではなのかもしれません。


以上50タイトルでした。推薦曲をまとめたプレイリストはこちらになります。

見てくださってありがとうございました。
また来年も素敵な音楽に出会えますように。

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