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今宵の月のように。

昼間、母と電話をしていたら
窓の外から陽気な音楽と
チンチンドンドン チンドンドン
という鈴と太鼓の音が聞こえた。

あっ、チンドン屋さん!

と思ったけれど、電話をしていたので

令和の時代にチンドン屋さんだなんて
珍しいなあ。

と昭和の一コマを思い出してほっこりしつつも、
母との会話を楽しんでいるうちに
どこか別のところへ行ってしまったようだ。

ご存知ない方に一応説明しておくと
チンドン屋さんというのは
派手目な着物を来て太鼓や鈴で
チンチンドンドンチンドンドンと鳴らしながら、
新装開店などお店のチラシを配りながら練り歩く
宣伝をご商売とされる方たち

です!
これ、あってる?
うーん、この表現でどこまで伝わるかしら?
私の文章力のなさよ。
検索してね。

話しは戻って。

チンドン屋さん、私の子供時代にはよく見かけたけど、
いつの間にか見なくなったなーと思う。
話は違うけどアドバルーンも見なくなったよね。

そんなお久しぶりのチンドン屋さんに
ある種のノスタルジーを感じていたのだが、
夕方仕事から帰るとまた、

チンチンドンドン チンドンドン

と聞こえてきた。

急いでベランダに出る。
下を覗くと、いたいた。
暗いから姿はよく見えないけど
音は上にあがる性質があるのか
よく聞こえる。

耳を澄ますと
聞いたことがあるような音楽だ。
いや絶対あるわ!
この曲、好きだったやつ。

ふふふふふーん
ふふふふふーん
ふふふふふふふ ふふふふふーん

″ふ″が多すぎてなんだか模様に見えてきた(笑)
でも本当にこういう風に聞こえるんですって。
しかもさすが令和のチンドン屋さんは一味違う。
楽器はサックス。
オシャレだわー。

Google先生にこの音楽を聞かせてみたけれど

一致するものはありません。

と出る。

いや、絶対聞いたことあるんだって。

よし!

と今度はチンドン屋さんの音楽をなぞって
Google先生に私の鼻歌を聞かせる。

ふふふふふーん
ふふふふふーん(以下略)

すると

36%一致。(←私の歌の下手さったら)

今宵の月のように
エレファントカシマシ 
(1997)

です。
とGoogle先生。

わあ、コレコレ!
コレだよー!
この歌好き。
当時この曲をちゃんと聞いていたわけでもないし、
ましてやエレファントカシマシさんのファンでもなかったのに
ちゃーんと私の記憶の中にいらっしゃったのね。

YouTubeで一通り聞く。
ん?このボーカルの方、どこかで見たような?
あれー?宮本浩次さん!?

最近King & PrinceとSnow Manを見たいがばかりに
大型音楽番組は必ず見る私だが
その中で宮本浩次さんが昔の名曲のカバーをしているのを何度か聞いた。

「あなた」 とか 「恋人はサンタクロース」 とか。

その独特のパフォーマンスと美声にすっかりトリコになってしまい
宮本浩次さん、好きだなあと思っていたのだが、
なんだ。私昔から宮本さんのこと、知らないうちに好きだったのかも。
「今宵の月のように」いい曲だ~🎵

しばらくすると「今宵の月のように」は終わり
しばしの沈黙が流れる。

一呼吸置いたあと、

I'm dreaming of a White Christmas~♪

とめちゃめちゃジャジーなホワイトクリスマスをサックスが奏で始めた。

何ですか?この彼らのいでたちとのギャップは!
うわあ、そしてめちゃめちゃジャズやん!
はあぁ、なんて素晴らしい音色なんでしょう。

ベランダで幸せを一人堪能していると
息子1が帰ってきて

「そんなところで何してるのよ?」

と聞くので

「あ、今下でチンドン屋さんに会わなかった?サックスでホワイトクリスマス吹いてた…」

と言うと

「は?誰にも会わなかったし、何にも聞こえなかったよ。」

と言う。
下を覗いてみると、

あれ?
誰もいない…

私の見たものは夢か幻か。
はたまた…?

いずれにせよ、わずか数分間という刹那、
今夜私は最高に幸せな瞬間を過ごしたことは間違いない。




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