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サマータイムバケーション (ショートショート)

あぁ、もうこんな季節か。

誰がこんなイベントを考えたのだろうか。

桜が散り、太陽が私を照らす時間が長くなってくるとそれはやってくる。

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
暑い日差しの中、戦いの火蓋は切って落とされた。

相手は20代くらいの男。目は悪いらしい。

何やらなかなか頑丈そうな木の棒を持っている。

ひいて私は丸腰だ。

今回は、勝ち目は相当低いと踏んだ。

真っ当から戦いを挑んだら勝てないが、相手が棒を振り下ろした瞬間を狙ってカウンターを狙えばあるいは。。

そんなことを考えている間にも、相手はゆっくりと神経を研ぎ澄ませながら、こちらに向かってくる。

男が近づいてくればくるほど、心臓が激しく拍動するのを感じる。

男は私のすぐ側までくると、ブォンと空気を切り裂きながら勢いよく棒を振り下ろした。

棒は私の横すれすれを通過した。

私は勝ちを確信した。

棒を振り下ろした反動で体勢を崩した男に一撃を与えることなど簡単なこと、、、

「もうちょっと右!!」

その瞬間どこからともなく女の叫ぶ声がした。

音のした方に振り向くと、そこには男と同世代くらいの女がいた。

仲間か。想定外だった。

女の声で私の位置を把握した男はもう一度私に向かって勢いよく棒を振り下ろした。

グシュッッ

棒は見事私の額ど真ん中に命中した。

クリーンヒットだった。

意識は朦朧とし、段々と視界に白いモヤがかかってくる。

頭が割れるように痛い。いや実際割れているのかもしれない。

額から溢れる液体は地面を赤く染めた。

男と女は私のところに寄ってきて私の身体を貪り始めた。

農家のおじさんごめん。

ある夏の海辺の話だった。

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