ロード・オブ・ザ・マリッジリング

彼女と指輪を探しに行った。
指輪と言うぐらいなのだから、理由はお察しの通り、結婚するからだ。
まだ何が起こるか分からないので断言は出来ないが、そのつもりで色々な段取りの元、動いている。
さて、今回は指輪を買う前のリサーチとして足を運んだ訳だ。
いくつかの店舗を回ったが、最初は興味こそ無かったものの、見ていると段々楽しくなってくる。
共通項はハイブランドと言う点のみで、デザインやら着け心地やら、それぞれ個性に溢れていて割と面白い。
回り終えた後は、食事をしながら彼女と感想を伝え合った。
案の定、意見が食い違う。
しかしながら、一店のみ「ここは無いな」と言うブランドが一致した。
何と言うか、良いブランドではあるのだが、デザインがいまいちピンと来なかったのだ。
極め付けは、何より店員さんのトークがピンと来なかった。
「このブランドは、宝石の仕事を通じて結婚した二人の名前が由来らしいので、夫婦愛の象徴として選ばれているんですよ〜」
いや、「らしい」ってなんだよ!
テキトー過ぎるだろ!
加えて、そんなテキトーさに溢れた店員さんなので、エピソード自体も信憑性に欠ける。
と言うか、これ、もしどちらかに愛人が居たって史実が見つかったら、象徴も何も無くなってしまわないか?
まあ、帰宅後に調べてみた所、そう言ったことは一切無かったが、今後も変わらずそうであるとは言い切れない。
歴史は塗り替えられるものなのだ。
なので、色々な要因から二人でここは選ばないと決めるに至った。
……とか何とか言って、結局、店員さんが教えてくれた通りの史実が、後生に語り継がれるほど覆されない正しい内容だったらどうしよう。
トんだイチャモンだ。
もしそうなってしまったら、罪滅ぼしのためにめちゃくちゃ購入して身に付けよう。
加えて、指輪ブランドの中でトップクラスだと喧伝するつもりだ。
そりゃもう「五本の指に入る」って。

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