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シロクマ文芸部参加作

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note内企画「シロクマ文芸部」参加記事のまとめです。
運営しているクリエイター

記事一覧

「言葉の日常」#シロクマ文芸部

 子どもの日常を記しながら、自分は子どもの頃どんなことを考えていたのかを思い出す。 「今…

泥辺五郎
5日前
17

「桜の花びらを呑み込む蛇の話」#シロクマ文芸部

 春の夢、と名前をつけられた蛇がいる。桜の花びらを主食としているから肌が桜色に染まったせ…

泥辺五郎
13日前
15

「言葉を散らして掃き寄せる」#シロクマ文芸部

「花吹雪」と題した文章を、こんな風に締めた。  そんなことを書いてから約一か月半が過ぎた…

泥辺五郎
3週間前
32

「風待ちロマン」#シロクマ文芸部

 風車が止まったので鍋で煮込んでいたシチューが冷えてしまったの、と妻が言った。この町の動…

泥辺五郎
4週間前
23

「入学魔法」#新生活20字小説

黄色の学帽が園児を小学生に変えてしまう。 シロクマ文芸部の企画「新生活20字小説」に参加し…

泥辺五郎
1か月前
23

「あの頃に戻ることはできないけれど再現動画は撮れる話」#シロクマ文芸部

 変わる時は突然訪れるわけではなく、日々少しずつ変化している。息子の小学校用体操服などを…

泥辺五郎
1か月前
12

「執筆怪談」#シロクマ文芸部

 始まりはバイトをさぼる口実だった。当時入院中だった父方の祖母の見舞いに行くから、と。あまり良くないようなので行けるうちに行きたくて、と、バイト先に電話を入れた。本当は友達に遊びに誘われたからだった。  その後本当に祖母の具合は悪くなり、亡くなった。  小説執筆を始めた頃には、父方の祖父が施設に入っていた。私は祖父が亡くなる話を書いた。それから間もなく、本当に祖父は亡くなってしまった。  ただの偶然に過ぎないし、元々死期の近い人たちではあった。しかし私の嘘や創作が二人をよ

「マイクラ・小学校ごっこ・小学生恋愛事情」#シロクマ文芸部

「桜色の花びら」はマインクラフトのバージョン1.20大幅アップデート時に追加されたアイテムで…

泥辺五郎
1か月前
32

「馬糞症にまぎれて」#シロクマ文芸部

 春と風の取り合わせが花粉症という前時代の病気を思い出させる。しかし現代に花は咲かない。…

泥辺五郎
2か月前
20

「うるう秒に生まれて」#シロクマ文芸部

※実際の「うるう秒」は閏月には設定されません。  閏年、閏月、閏秒に生まれた僕は、四年に…

泥辺五郎
2か月前
50

「宇宙律俳人とは旅に出ないことにした」#シロクマ文芸部

 梅の花を探しに出た。妻と二人で。長い長い入院生活が終わって自宅に帰ってきた私は、弱った…

泥辺五郎
2か月前
18

「『チョコレート粉砕工場』すら聴けなくなった夜に」♯シロクマ文芸部

「チョコレート粉砕工場」という曲を流す。ゴンチチの名曲である。かつてこの曲をリピート再生…

泥辺五郎
3か月前
23

「エンドレスドラゴンボールごっこ」#シロクマ文芸部

 青写真は常に息子の頭の中にある。  それは「スーパーサイヤ人3の悟空の髪の毛の量で、悟空…

泥辺五郎
3か月前
12

「ハリー・ポッターごっこ」#シロクマ文芸部

 布団からはみ出る足の長さを気にして、息子は毛布を短めのタオルケットに変えた。「ハリー・ポッターごっこ」の最中の話である。黒いローブを背負ったスネイプ先生のつもりらしい。私と娘もそれぞれ毛布とタオルケットを体に巻いて役作りをする。いつの間にかスネイプ先生から「封印されている化け物」へと役を変化させていた息子から配役が発表される。 「健ちゃんは封印されている化け物、ねぇねはハーマイオニー、パパはハリー・ポッターとロンとマルフォイとダンブルドア先生とハグリッド!」  いつものこと