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まちづくり人材育成プログラム・JaLoGoMa(ジャロゴマ)で気づいたこと③

2024年の夏、ポートランド州立大学で行われた、日本人向けまちづくり人材育成プログラムJaLoGoMa(ジャロゴマで気がついたことを。

グループでの学びの豊かさ

1日目午後の市内探索ではまず、ダウンタウンエリアで建築家の柳澤 恭行(やなぎさわやすゆき) 氏とアーバンデザイナーのサウミャ・キ二(SAUMYA Kini)氏の二人の専門家による解説付きのツアー。その後は小グループ(参加者4名+通訳等ボランティア2名)に分かれ、グループごとに自ら選んだ地域へ出向き、探索が行われた。

翌日2日目は、グループ毎の市内探索の報告と共有。これはまさに「集団であるからこその学習機会」だった。グループで行動することで、複数の視点から意識を向けることができていたし、それらを全体に発表・共有することで、他グループからもポートランドに対する異なる視点と体験を得る機会となり、集団としての関心が高まっていった。

ここには各グループの多様性が効果を発揮していた。参加者は現役の政治家、さまざまな民間での活動経験のある大学教授、NPO関係者、そして世代も20代〜60代まで幅広かった。ゆえに、同じ場所で同じ経験をしていても、実にさまざまな視点と思考がそこにはあった。

多様性」という言葉が、バズワード(流行語)のように聞かれるけれど、その意味を本当に理解している人がどれだけいるだろう?市内探索のプロセスはこの「多様性の価値」を実感できるひとつのモデルケースだ。

先入観(色メガネ)に気をつけろ!

JaLoGoMa(ジャロゴマ がはじまる際、プログラムディレクターである西芝 雅美 教授から「色メガネ」についての話があった。私たちのほとんどは、これまでの経験をもとに物事をつい「こういうものだろう」と決めてかかって見てしまう。そういう固定観念というか、日本の常識や感覚のままで当てはめて、視野が狭くなってしまうことを「色メガネ」と先生は指摘した。その「『色メガネ』を外して見てほしい」と。

このことに意識を向けられたことが、その後の参加者の気づきと吸収に有効に働いたように私は思っている。

私たちは何かを理解するときに常に自分なりに「解釈」をしている。「これはこういうこと」で、「あれはあぁいう意味」だったなどと、年齢を重ねて経験を積むと、その解釈には説得力が増していき、確固とした信念にもなっていく。そして、確信を積み上げて融通の利かない頑固なお年寄りになっていく…というのが簡単に想像できるw (あぁ、気をつけよぅ…ww)

しかし、世の中には異なる見方とやり方がある。異なる文脈がある。「ところ変われば人も変わる」というけれど、あらゆることが違って存在する可能性を秘めている。

JaLoGoMa(ジャロゴマ)のプログラムディレクターで、ポートランド州立大学 行政学部の教授である 西柴 雅美 先生。癌の完治に向けて闘病中にも関わらず、あたたかくパワフルなレクチャー!

私は、この「色メガネ」という言葉がとても気に入った。これまでも「先入観」とか「思い込み」という言葉を使ってきたけれど、それらはなんとなく仰々しくて、ふとした時に持っていることに気付きにくい。「色メガネ」つまり色付きレンズのメガネというのは、つけた瞬間は少しの違和感があるのだけれど、かけているうちに慣れて当たり前になっていく。外すまでその違和感を忘れてしまう。私たちはみんな、多かれ少なかれこの色メガネをかけている。何重にも。その存在に気づくことが新たな可能性を広げることに繋がる。

名前をつけると、意識しやすくなる。JaLoGoMa(ジャロゴマの期間中、私も自身のいくつもの「色メガネ」に気がついた。

例えば、参加者にミュージシャンがいると知った時、「なんでミュージシャンが街づくり講座に?」と思った。(ごめんなさい!)自分だってアーティストとして街づくりに関わっているのに。(苦笑)ソーシャル・アートを実践しているのに。(恥)仲間にはミュージシャンもいるのに。(笑)人間というのは矛盾だらけだ。(爆)

 常識を覆す

この日(2日目)の午後の西柴先生のレクチャーは、本当に素晴らしかった。

各グループの振り返りのプロセスを抽出し、そこから話を展開していった。参加者はすでに体験した上で意識を向けているので、そこを起点にした先生の説明にはみんなが多くの興味を持って聞いていたと思う。

その中で、日本とアメリカがどれほど異なる意識と歴史の流れの中で街づくりをして来たかを学んだ。多くの参加者のこれまでの常識や認識が覆ることも多く、同時に、翌日からのプログラムに対して強烈に興味が高まった瞬間だった。

これはつまり「違う」ということを理解する第一歩だったと思う。語弊を恐れずに言えば、ひたすらに「揃えること」「合わせること」、つまりは「和を尊ぶ」ことを練習して生きてきた私たち日本人にとって、「まるく収めること」は善であり、「違うこと」を理解するチャンスがほとんどない。この時、参加者は「違う」ということを体験と知識の両方で理解したのではないか。(もちろん、私も再確認した)

ここに辿り着けると、「なぜアメリカでは日本より活動家が多いのか」とか、「なぜ銃規制が進まないのか」とか、その辺を理解するための入り口に立てると私は思っている。

そしてそれは視野を広げ、人間として成長し、異なる人間と対話する力に繋がる、すなわち社会の問題解決→世界平和につながると私は信じている。だから、私はこのJaLoGoMa(ジャロゴマのプロセスに心底感激し、この時点で大ファンになっていた。

参加者のすーちゃんことすみれさんの、その日(とその後数日_の投稿がこちら。

というわけで、初日には自己紹介と市内探索で仲間のひととなりを知り、2日目は、アウトプットとインプットで先入観を覆して土台をフワフワに耕し、いよいよプログラムは本格的始動へ。(あくまでも個人的な見解だけどw)

翌日は、全米で最も早く郵便投票を実現したオレゴンの選挙システムと、この11月に大きな選挙方法の変更を控えているポートランドの選挙システムについて学びました。お楽しみに。

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