祖父へ、天国でも幸せでいてね。
2023年2月10日午前11時35分
「じいじが亡くなったよ。今病院にいます。」と母から電話が来た。
いつかはこういう日が来ることは分かっていたけれど、いざその時になるといたたまれない気持ちになる。
ずっとヨボヨボのおじいさんだったし、耳が遠くて離れていてもテレビの音や話し声が丸聞こえ。
それが日常だった。
当時はうるさかったけど、いざ無くなると寂しいもんだね。
私にとっては初めての近親者の死。葬式や各種手続きの段取りはすべて親がやってくれた。
お通夜の日
おくりびとの方が天国に向かう支度を整えてくださった。とても丁寧な方だった。
祖父の兄弟もあいさつに来てくれた。
「なんで逝っちゃうの?」「返事しなさい!」
「かえっておいで!」
みんなからそう声を掛けられるような、本当に温かくて、慕われるような人だった。
棺桶に入った祖父は本当に亡くなっているみたいだった。
亡くなっているんだけど、信じたくなかった。
もうあの温かい笑顔を見れないのがさみしかった。
もう色々な冗談を聞けなくなってしまうのが嫌だった。
明日にも焼かれてしまうのが怖かった。
遺影の写真は私が成人式の日に一緒に撮った写真だった。
よく見慣れたとても良い笑顔。
お坊さんが「きっと天国でも笑ってくれていると思いますよ」と。
それが救いだった。
葬式の日
正直お経とかは何も分からなかったけど、火葬のカウントダウンが刻々と迫っていた。
最後にみんなで棺桶を花いっぱいにして、祖父を送り出す。
目じりのしわが残っていて、笑っているみたいだった。
花で囲まれた祖父はなんだか幸せそうだった。
最期の表情はいつもの祖父だった気がする。
いい人生だったかな?
火葬後のお骨は何て表現したらいいのかよく分からないけど、これを見て初めて祖父の死を受け入れられたと思う。
天国でも幸せになってね。
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