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ハシビロコウ

        1

宙空には蠱毒の壺がある
蠕動する人面毒虫
「血」を啜って肥え太った面々
のわずかに半開きの口元
の作り笑顔に隠し仰せない
凶々しき歯列
ツラだけヒトの八ツ目ウナギ、ヒルの類
生まれつき人民の膏血でぬるぬる・てかてかしてるやつら
が「壺」から溢れ落ちてきて
わたしの顔の上を這い廻っている

        2

さて次に、金持たちよ、さしせまっている自分の難儀を思って、泣いて大声で祈るがよい。 見よ、あなた達の土地の刈り入れをした労働者の、あなた達が搾取した賃金が、叫んでいる。そして刈り入れをした者たちの叫び声が万軍の主の耳に到達している。         (ヤコブ書簡5:1,4)

孤独なディアスポラか
横のつながり=連帯の革命か

        3

人のいる場所ではN95なるマスク(少しごつい)を着けている。しかし今は若い人も含めてマスクをしない人が増えた。最近わたしを見る人の目が険しい気がして仕方がないのは歳のわりに変な恰好しているせいというよりもごついマスク姿が異様に思われるのかもしれない。

スーパーでもコンビニでもレジで接客(バイト)している人の雰囲気が数年前よりもあきらかに暗い。これも岸田自民党のせいだ。自民党倒してあかるい日本にしよう。公明党も倒そう。その他もろもろ自民党同類項も倒そう。人民の怨念の重圧で岸田が「座屈」するイメージ。

        4

昔の家のように南北に風が吹き抜ける部屋でなんとか目が醒める。汗をかいていることが新鮮だった。昨日、夜を徹して朝を海辺で待った甲斐があった。夏至が近い。三時半を待たずにすでに薄明の兆しがあることをこの歳になって初めて知った。海の余韻か。身体が変わった。

朝六時にはすでに日が高かった。車で寝るつもりだったが、古い軽自動車で冷房が日射に勝てない。睡眠は諦めてコンビニで栄養物を補給する。トイレに鏡がある。N95を着けた自分の姿を初めて見た。ハシビロコウそのものだった。

(既に曖昧な記憶による自註)
「座屈」とは今で謂う非線型物理現象の典型の一つで、例えば金属棒に上下から均等に力を加えていくとしばらくの間は応力と変形の間に線型関係がみられるが、ある閾値(現実には再現性がなくカオス的に振舞う)を境に(ここでは)金属棒がグシャリと変形する等の現象を謂う。


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