mercariはどの市場を破壊しているのか?

mercariを始めとする、フリマアプリ市場はかなりの勢いで拡大していますが、拡大している市場の背景には縮小している市場があります。

今回は、縮小している市場を観察し、mercariインパクトについて考察したいと思います。

A. フリマ市場によって最も拡大しているのはどこか?

リユース市場のデータを見てみると(1)衣服・服飾品カテゴリーの2017年度市場規模約2700億、前年度から約900億円ほど伸びていることが分かります。

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B. なぜ衣服・服飾カテゴリーのリユース市場が伸びているのか?

原因としては次の2つの仮説が考えられますので、検証していきましょう。
B-1. アパレル市場全体が拡大している。
B-2. アパレル市場内でリプレイスが発生している。 

まずは、B-1.アパレル市場全体が拡大しているのか?について検証してみます。
アパレルECの市場規模とEC化率のデータ(2)を基に、アパレル市場の市場規模の前年度比を推定しました。以下の通り、アパレル市場規模は伸びるどころか下がり続けています。(毎年平均-3%~4%程度)

つまり、B. 衣服・服飾のリユース市場が伸びている原因は、B-2.アパレル市場内でリプレイスが起きているという事がわかりました。 

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C. アパレル業界のどのセグメントでリプレイスが生まれているのか?

いくつかのデータ(3,4)を基に、アパレル市場のセグメント別市場規模変化を試算してみたが、次のような事がわかりました。
・店舗の市場をECとリユースがリプレイスしている。(減少要因の20%程度)
・店舗自体の市場も縮小している。(減少要因の約80%)
・リユース市場はEC市場とはまだ喰いあっていなさそうに思える。

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※ A用いたデータと、Cにおいて用いたリユース市場のデータは異なります。しかし、市場規模合計値は大きくずれていないことを確認したので、許容し ました。

なぜ、リユース市場に代替される以上に市場全体の縮小しているのでしょうか?
ここに、需要の大きなトレンドが隠されています
では、「D.そもそも、なぜアパレル市場全体が縮小しているのか?」について考えてみたいと思います。

D. そもそも、なぜアパレル市場全体が縮小しているのか?

原因として考えられるのは、以下の2点です。
D-1. 購買人口が縮小している。
D-2. 購買単価が減少している。

しかし、D.購買人口が減少している可能性に関しては低いと思われます。
なぜならば、メイン購買層である生産人口(15~64歳)の年間人口減少率は約-0.7%程度だと推定されるからです。(5)

つまり、上記の問いに対する仮説は「D-2.購買単価が減少している」ことになります。

まさに、mercari等のフリマアプリ市場のDisruptionの効果が見えてきましたね! 
上記の考察をまとめてみたいと思います。

【結論】どのようなニーズをmercariは代替しているのか?

今までの論点と、それに対する考察を整理すると以下のようになります。

A. フリマ市場によって最も拡大しているのはどこか?
→ 衣服・服飾カテゴリー(前年比46%増加)

B. なぜ衣服・服飾カテゴリーのリユース市場が伸びているのか?
→ アパレル市場内でリプレイスが起きている

C. アパレル業界のどのセグメントでリプレイスが生まれているのか?
→ 店舗の市場をリプレイスしている。(20%程度)
→ しかし、それ以上に店舗の市場は縮小している。(80%程度)

D. そもそも、なぜアパレル市場全体が縮小しているのか?
→ 購買単価が減少している。

以上を踏まえると、次のようなことが言えるのではないでしょうか。

衣服の消費を抑えたい大きなトレンドが存在

・フリマアプリ市場が大きく拡大
・既存のアパレル業界の売上が大きく縮小

mercari戦略的考察

今回は衣服のカテゴリーから推察してみましたが、他のカテゴリーでも基本的には、より消費を抑えたいというシンプルな価格競争になっているのではないでしょうか。

そして、アパレル小売店にとって、自社のリユース品を再販売するという手口は、自社の新製品の売上と共喰いの関係にある、不協和のポジションにあります。

まさに、既存企業がそのビジネスを始めると、不協和になりうる素晴らしいポジショニングだなと思いました。

今後も既存製品よりも価格の安い製品を出品してもらう事がシェアを伸ばすキーになるのではないでしょうか。

過去記事にては、不協和・共喰い等について解説しているのでよければどうぞ。



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