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「ウォーターフォール市アジャイル町」を再訪した #ここアジャ #翔泳社アンバサダー

はじめに

本記事は、いちばんやさしいdora_e_mの Advent Calendar 2020、要するに一人アドベントカレンダーの8日目のために書いた記事だ。

そして、これは「ここはウォーターフォール市、アジャイル町」のアンバサダーとして書く記事でもある。

実は、「ここアジャ」を初めて読んだときに書評は執筆済だ。なので、アンバサダー就任当時は「本書のよいところをSNSで2,3投稿」くらいの活動を考えていた。

しかし、改めて再読することで気づくことがいくつかあったため、ウォーターフォール市にあるアジャイル町の再訪記録としてnoteにまとめることとした。

それでは、この「ウォーターフォール市アジャイル町」を織りなす「物語」「解説」それぞれの側面から本書の魅力を紹介していく。

縦の糸は物語

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物語は、開発と運用が正面からぶつかりあう、心地よいとはいえない現場から始まる。さて、この先にどのような物語が待ち受けているのだろうか。ひとまず目次を眺めてみよう。

無力感
小さな一歩
抵抗
変化
意外な理解者
相手のキーワードに飛び込む
快感体験
衝突からのセイチョウ実感
越境
さらなるセイチョウ

どうだろう。目次を眺めるだけで、ある程度は物語の進む方向とたどり着く先が想像できるのではないだろうか。ここが大きなポイントで、
自分が置かれた状況に近い章から読み始める」といったことが可能なのだ。もちろん、物語を楽しむために最初から通して読むことを進めるが、「今、まさに現場で困っていること」と呼応する章から読み、感情移入してからあらためて読み直す…という読み方もあるだろう。

横の糸は解説

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そして、各章ごとに「解説」が挿入される。「問題整理」「現場での実践ポイント」「さらなる探求」で構成されたこの解説は、ストーリー中の問題を自身の課題と結びつけ、学習し、実践へと向かう手助けをしてくれる。経験学習サイクルをともに回す、心強いガイドとなるのだ。

LESSON3-コラム-1_コルブの経験学習モデル

コルブの経験学習モデル

使用するふせんの種類やホワイトボードへの貼り方など、「アジャイル」のもっと手前で、もっと「いますぐ始められる」ことを扱っている点にも触れておきたい。体系だったアジャイルではなく、あえて目の前の課題に対するソリューションとして紹介されているため、俗な言い方をすれば「すぐ使える」のである。

織りなす布が温めるものは

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ストーリーに書かれたある段階に共感する人にとって、その先の物語はいわば「預言書」の役割を果たす。課題が明確な場合、それは解説パートが解決の手助けをしてくれる。

約2か月ぶりに再読して感じたのは、これはDXが叫ばれる昨今、非常にリアルな風景を切り取った物語なのではないかということだ。一度目に読んだときは「ああ、こういう現場あるよねー」「うちもこういう状況になることあるわー」と共感しながら読んでいたが、再読時にはそういった俯瞰視点での気付きがあった。何がいいたいかというと、再訪することで新たな気づきが得られる、ということだ。この町は、訪れるたびにこちらが関心を持っている課題への解を提示してくれる。

もうすぐ2020年が終わり、年が明けたかと思えばあっという間に年度末だ。年度末は忙しい、そういうものだ…そんな風に思ってしまうならば、またそう思わせてしまう現場にいるならば、この本は冬の課題図書として読むべき一冊に数えられるだろう。


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