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一周遅れのデブサミ2023参加レポート #devsumi

はじめに

デブサミ2023が開催されたのは2/9-10、今日は2/18。いつのまにやら一週間経ってしまい、速報性という観点ではあまりうまみのあるものではなくなってしまいました。が、参加した自分自身の学びを深めるという観点で、いまさらではありますがnoteにまとめておきます。

オンラインだからこそのスポット参加

今回のデブサミは、フル参加ではなく歯抜けでの参加となりました。いくつかこなしておきたい業務があったのと、プライベートの用事が重なったためです。

そろそろデブサミもオフライン開催が復活してほしいなと思いつつ、オンラインだと「予定が被ったからカンファレンス自体を諦める」ということをしないで良いのは助かりますね。

AIの話

何にでもAIというラベルが貼られハイプ化していた時期から時は流れ、もはや本当に「AI」以外の何者でもないgenerativeなAIが世界を席巻しています。私自身は、それこそ「なんでもAI」の時期にChat botやマネージドなAI(MSのLUIS)などにこの分野に触れていましたが、改めて現状のAI技術についておさえておきたく、「AIはどこまで来てどこへ向かうか」、そして「機械学習を実用化するエンジニアリングスキル」を聴講しました。

松原先生の話はこれまで何度かあったAIブームをなぞるところから始まり、直近のAIブームはGPUに代表される高性能のコンピュータが出てきたこと、そして企業が多額の資金を投資してきたことで続いているというようなことが語られていました。

この「企業が多額の資金を投資している」というのは重要なポイントで、研究所ではなくあくまで企業が投資しているので10年先のことよりも近場のビジネスに活用するモチベーションが強く、それが漸進的な発展とブーム継続に一役買っているといえそうです。

澁井さんの話で興味深かったのが、MLOpsにおけるチームフォーメーションのありかた。機能別ではなくドメインで分割していくというのは一般的なソフトウェア開発でも良しとされていることで、ことMLだから特殊なフォーメーションというわけではないというのが、言われてみればそうだよなという納得感と驚きのある話でした。

エンジニア組織の話

エンジニア組織の段階的育成アプローチというテーマが興味深く、「エンジニア数が3倍になる過程でのエンジニア組織の段階的育成アプローチ」を聴講。

村上さんの話はかなり赤裸々で、数年前は技術的負債に手が回っていなかった、という生々しいエピソードからスタートしました。

すぐに技術課題に取り組んでも継続できないから、なぜそれができないのかと向きあうところから始める。
エンジニア用語はエンジニアにしか伝わらないので、伝わる語彙を探す。
合間ではなく計画的に作業タイムを作る。特に中規模以上の技術的負債はスキマ時間に返済できるものではないから、計画的にやる。

自分自身が経験してきたこと、取り組んできたアプローチと似ているところがかなりあり、勝手に共感しながら聴講していました。

コミュニティの話

初日のラストは、いろいろ迷ったのですがコミュニティの話を聞くことにしました。「人と会う喜びをもう一度! 技術イベントによるオフライン/ハイブリッド開催への挑戦」。
私はイベントがハイブリッドになってから飛躍的に参加機会・登壇機会が増え、ハイブリッド開催への転換によって人生が大きく変わった人間です。自分にとって転機になったあり方の裏側で何が起こっていたのか、それを知りたくてこちらを聴講しました。

チケットを買う。Discordのサーバーにジョインする。受付ではbotがもぎりをやっていて、受付が終わるとそこには会場がある。講演自体はZoomで開催され、スピーカーが話している間もずっとDiscordは大盛り上がり・・・

ここ数年で当たり前になっていたそのあり方が、そういえばわずか3年前には当たり前でもなんでもなかったことを久しぶりに思い出しました。というか、改めて考えるとこの仕組みが確立されているのはすごいことです。ツールありきで考えたら1ツールにまとめるでしょう。体験を設計しながら、そして実践しながらブラッシュアップしていったからこそ今の形がある。

アジャイルコミュニティがアジャイルを実践している。言葉にすると当たり前っぽい奇跡に改めて感謝したくなるセッションでした。

設計の話

二日目の朝イチは、ミノ駆動さんの「目的と抽象化の関係性から分かる、システムの設計精度を高める考え方」。

システムは目的達成手段であり、構成要素であるモデルも目的達成手段であること。
なので、モデリングは対象を委細漏らさずクラスに写像する行為ではない。対象物に付随する様々な特徴のうち必要なものだけ抽出すること。

かつて「委細漏らさずクラスに写像」しようとした苦い記憶が掘り起こされるが、そういう全部盛りチャーシュー麺大盛りみたいなクラスはそこそこ見かけるのでこのポイントをおさえておくことはやはり重要だと、講演を聴きながら噛み締めていました。

抽象化という表現を使うと猫→動物のような切り出し方になりやすいので、抽出と表現したほうがいいんだろうな、というのが本講演を聴いての個人的な学び。

組織づくりの話

今回のデブサミで個人的に一番楽しみにしていたのが、てぃーびーさんの「組織づくりをエンジニアリングする」でした。

実は、事前にてぃーびーさんの壁打ち役としてお話の大枠を伺っていたこともあり、まったくの初見というわけではありませんでした。
それでも組織づくりに、制度設計にエンジニアの知見を活かしていくというてぃーびーさんの水平思考は「なるほど」と唸らせられるものでした。だいたい、こういった変革をしっかり推し進めているってことがもう尊い。

デブサミの話

ざっと、自分が参加したセッションをおさらいしてきました。最近はもっぱらアジャイルコミュニティで学ぶ機会が多いのですが、デブサミのように広範なエンジニアリングを扱ったカンファレンスでは1テーマ型コミュニティでは得られない学びにあふれており、あらためて得難い場だなと実感しました。

oViceでうろうろしてたらゆうこりんさんが声を掛けてくれたり、J.K.さんと日本中をもっといきいきさせるために何ができるか雑談したり。短い時間ながら、そういう交流があったのも個人的に良かった点です。今年も素晴らしい学びの場をありがとうございました。

いやーでも、そろそろ行きたいですね、雅叙園(*)。きっと来年こそは!


*コロナ前はデブサミは雅叙園で開催されるのが通例でした

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