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女性のための住まいをつくりたい③

コロナ禍と女性たち

女性の住まいづくりについて考え始めた頃、パンデミックが起こった。ニュースやSNSでは、住まいや居場所を失った人の話題を毎日のように目にした。困難な状況に立たされている人の多くは女性で、非正規雇用。私が住まいで支えたいと考えていた人たちだった。
住まいを必要とする人たちを支援したいと上司に相談したものの、実現の糸口は見つけられなかった。営利企業としてはあくまでも利益を産まなければいけないからだ。

学びの場へ

ちょうどその頃、図書館で一枚のチラシを見つけた。県の男女共同参画センターが主催する女性リーダー育成講座の案内だった。周りを巻き込む力がほしい、女性の置かれた状況をもっと知りたい、そんな思いから約8ヶ月間にわたる講座の受講を申し込んだ。
育成講座では20代から70代まで幅広い年齢層の女性たちと学びを共にした。子育て期の母親の孤立や、高齢女性の貧困問題、防災における課題など、メンバーそれぞれが設定したテーマに沿って学び、励まし合いながら最終成果レポートの発表までなんとかやり抜いた。

支援の現場を見に行くと

講座の受講中、そして修了後も、住まいの支援を行なっているいくつかのNPO法人へ依頼して面談と見学をさせてもらった。どの団体の方も口を揃えて、支援を必要とする人の増加、支援の担い手と予算の不足を言われる。コロナ禍から2度目のオリンピックを迎えた2024年になった今でもだ。
現実の厳しさを感じるのと同時に、支援に携わる人たちのエネルギーに勇気をもらうことも多い。多くの企業から寄付を取り付けて新たなシェルターを開設する団体や、たくさんのボランティアを集めて長年活動を続ける団体がいる。

「予防」の力

学習や現場見学を経て、自分がしたいのは「予防」だと感じた。虫歯の根本的な治療は難しいから予防歯科の価値が認められているように、困難な状況の人を支援するよりも困難に陥らないためのサポートをしたい。それは例えば教育かもしれないしコミュニティ作りかもしれない。そして家賃の安い住まい作りも予防の一つになるのではないか。
一周回って自分のやりたいことに戻ってきたかたちだ。

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