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ハワイカウコーヒーの話

ギャラリーとカフェDoodle ではハワイ島のカウ地区にあるカウコーヒーミル農園のエクストラファンシーの豆を中挽きにしてハンドドリップでお出ししていました。

カウ地区というのはハワイ島の南部、キラウエア火山にも遠くない場所で、有名なハワイのコナコーヒーを栽培しているコナ地区はマウナロア山の西側、カウ地区はマウナロア山の東側という位置関係です。

コナコーヒーが1880年代から栽培されていたのに対して、カウコーヒーの歴史はまだ浅く、1990年代になってからサトウキビ畑だったところをコーヒー栽培に転向してカウコーヒーが生産されるようになりました。
中でもカウコーヒーミル農園のエクストラファンシー豆はアメリカスペシャリティコーヒー協会のインターナショナルロースターズ賞を2013年に受賞した農園の豆です。

正直なところ、Doodleを始める前まではコーヒーにそれほどの興味も関心もありませんでした。でも、カフェで何を提供するべきかと考えた時に真っ先に浮かんだのがハワイ島で飲んだコナコーヒーでした。

ハワイ島での私のお気に入りのカフェはコナのコーヒーベルトと呼ばれる道路沿い、崖の上にある素晴らしく見晴らしの良い場所にあるコーヒーシャックというカフェで、そのカフェの窓際に座って飲むコナコーヒーは至福です。

何が幸せって、カフェからの景色。
目の前にはたわわに実ったアボカドの大きな樹が見えて、それに続く木々の緑の向こうに広がる海と空が惜しげもなく広がるその光景が胸に迫るのとともに心地よく吹く風を感じていると芳しい香りとともに運ばれてくるコナコーヒー。
そこでこのコーヒーをひと口飲むと、これまで生きてきてよかったー!と大袈裟でもなんでもなく、心底思える瞬間が訪れるのです。

あぁ、私、今まで息するのを忘れていた、久しぶりに酸素が肺の奥深くまで届いたわー、そんな感じ。

もちろん、その場所で味わうから至福ではあるけれど、その美味しいコーヒーをぜひみなさんにも味わってもらえたらいいなぁと、西荻の片隅であっても、少しでもハワイ島のようなリラックスした気分になってもらいたい、そんな気持ちでコナコーヒーを出したいと思っていました。

でも、現実はそんなには甘くありません。
コナコーヒーはもともと希少性が高く、高価な上、近年は虫食いなどの被害も甚大でコナコーヒーは安定的な供給が望めませんでした。

飲み物に他にそれほどのこだわりもない私はコナコーヒーの他に何も思いつかずに困っていました。
そんな時に私のコーヒーの師匠(阿佐ヶ谷にある焙煎珈琲店のオーナーに相談に乗ってもらっていたのですが)が、ハワイ島のカウコーヒーっていうのが手に入りそうだよ、と教えてくれました。
でも、カウコーヒーを日本で飲めるお店はまだほとんどなく、どんな味なのかコナコーヒーと近いぐらい美味しいのかまったくわかりませんでした。

すると、(実は私はハワイ州観光局のハワイスペシャリスト検定を受けてアロハプログラム会員となっていたので)アロハプログラム会員限定で、抽選の上、カウコーヒーの試飲会にご招待というメールが届きました。もちろん、迷わず応募、そして見事、抽選に当選して試飲会に行くことができました!ミラクル。

初めて試飲したカウコーヒーは、本当に飲みやすく、すっきりとした清々しい味わいで、ワインで言えばフルボディーのどっしりとしたコーヒーなのに、なんとなくフルーティーな軽やかな口当たりの爽やかな味でした。
美味しかったんです。
ハワイ島のお土産で買ってくるコナコーヒーを日本で飲むより、カウコーヒーの方が好きだと感じました。

それでも、ハワイのコーヒーの輸出量は世界のコーヒーの輸出量全体の1%程度なので、コナコーヒー同様に希少性は高く、高価なコーヒーではありました。
Doodleでは100%カウコーヒー豆で淹れると1杯税込み920円で提供するのがやっとでした。本当はもっと手頃なお値段にしたかったのですが。なので、他の豆とブレンドして30%だけカウコーヒーの30%カウもメニューに加えました。こちらは税込650円。

30%カウも抜群に美味しくて、特に水出しアイスコーヒーにするととても美味しいとリピートしてくださるお客様もたくさんいました。

最初は一杯920円もするコーヒーなんて、いったい誰が飲むんだ、やめたほうがいいという人もいましたが、普通のマイルドブレンド550円もメニューに入れることで解決。それでもコーヒーが好きな人はハワイカウコーヒーに興味を持ってくれて、注文してくれて美味しいと言って飲みにきてくれたのです。
入口にハワイカウコーヒーをお出ししています、と書いておいたのですが、それを見てお店に入ってくださる方もけっこういて、やはり自分が何を提供したいのかにこだわりがあることは重要だと思いました。

Doodleをクローズした今、やはりカウコーヒーは気軽に飲むことができなくなってしまい懐かしく思い出しては、ハワイ島に行って飲むことが叶う日を夢見る今日この頃です。

追記:思うにカウコーヒーがコナコーヒーと違ってどことなくフルーティーなのは、つい最近までサトウキビが栽培されていた土壌だったからなのかしら?と素人的には分析しておりました。

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