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燦とした静けさの中で -みちのく潮風トレイル綾里-

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気仙沼大島ベースの活動、2日目。朝焼けが美しくて、泣きそうになりました。一滴か二滴は落ちたかもしれません。それくらいずっと天候が不安定な日々だったので、自然の厳しさと美しさと優しさを身体で感じるその一つの域に入ったようでした。この日に大船渡のみちのく潮風トレイルを歩くことを選択して本当に良かったと思います。道中、少しだけ雲がかかっていますが、盛駅から歩き始めて、陸中赤崎駅に着く頃にはすっかり青空が広がっていました。

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みちのく潮風トレイルの大船渡エリアで選んだのは、オフィシャルでもモデルコースになっている綾里エリア。

スタート地点はバイクをとめる都合上、盛駅。オフィシャルでは一泊二日と日を分けているのを1日で回るという結果的に実感しましたがなかなかタイトでもったいないことをしたかなと思っています。綾里峠、立石山、この日の前後半のロングルートに当たる山が予想以上に長く、綾里峠を抜ける頃にある不動の滝がすごく良くて、そこで少し時間を取ってしまいました。また、綾里の街中がすごく良い景色で。トレイルの地図通りに進むと、工事中で行き止まりで迂回が必要な場所もありましたがそれは護岸整備がまだ途中であるが故に変動的になっているためで。そういう事情でしばしばルートが少し変わることもあるようです。

綾里へついたのがちょうどお昼時で、漁業、整備事業などでお仕事されている方々はちょうど休憩中だったのでしょう。とても静かで優しい風が海から吹き、太陽は久しぶりに照りつける暑さを感じさせてくれ、自分も護岸の日陰でお昼ご飯を食べました。

午後は立石山へ。綾里峠もそうでした、この旅のトレイルに於いて、すれ違った人はほぼ皆無に等しく、熊やイノシシに遭遇しないか、内心ドキドキはしていました。野生の鹿にはたくさん出会ったのですが、ただその分、ものすごく静かで神々しい空気も出ていて、そのピークが不動の滝だったのですが。立石山は林業で伐採された林のエリアを抜け山を登って行くのですが、何か誰かに見られているような、何かの物語のように、山の民でもいて、自分をどこからかずっと見張っているのでは、あるいは見えない精霊か何がいるのか、あくまでそういう感じだった話ですが。

広大な海を眺めながら、思えば遠くへ来たものだと、しみじみと感じていました。仙台から宮古まで北上し、南下し。あの時の津波のことも、道中、至るところでその跡を見て来ましたが、自分が行ったところだけじゃない。夏に行った福島にも津波はきたし、南は千葉、北は青森まで…映像も、そして体験した一人一人の方々も、それはその時にいた場所でその場所の記憶と記録がある。それが当たり前の話なのですが、その範囲の広さというのを総じて考えた時、改めてそれがどれだけのものだったのかを、ここへ来て、初めて強く実感するのでした。言葉をどう選んだら良いのかわからない。ただずっと感じているのは、この後仙台へ帰るまでずっと感じていたのは、自然の美しさと脅威の大きさ。自分の存在の小ささなど話にならないですが、同時に、生命の尊さも感じたのでした。

燦とした静けさの中で、綾里の海は照る。護岸の整備は10年すぎた今も続いています。この時、自分が撮った写真が、木製パネルになり、展示されていますが、写真に切り取られた景色も、きっと変わって行くのでしょう。だからこそ、その変わり続けるものを、一個人の言葉にならない思い一つですが、この先も、見続けたいと思うのです。

Lomography Simple Use
Fujicolor Superia Premium 400
Ofunato

毎回、文頭か文末にご案内をしているとおり、今月19日まで、フォトカノン戸越銀座店で開催中の「PHOTO2021」に、大船渡市三陸町綾里で撮ったフィルム写真で一枚参加しています。

展示に選んだ写真は、この大船渡市の綾里で撮った一枚にしました。2021年に撮った自分のお気に入りを一枚選ぶというコンセプトのため、もちろん最初の段階では東北以外からも候補を選んでいましたが、最終的には、綾里と宮古と気仙沼に絞られていき、決めて行ったのですが、会場に置いているポートフォリオには、六切りワイドでプリントしてもらった最終候補の写真も入れています。基本的に、展示に出している写真はネットにあげないようにしています(それで、この旅で最も自分の中でハイライトとなった綾里の写真をあげているこの記事の写真が少ないのですが…)。
展示されている一枚に関しては、「PHOTO 2021」の特設WEBページで見れますので、会場へ足を運ぶのが難しい方はぜひ。


ところで、毎日のように上記のように案内を書いていた自身が、まだ会場に足を運べていませんでしたが、今日、やっと行ってこれました。

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こちらの写真はiphone


木製パネルで仕上がった質感、昨年夏の「海と山」展でも感じていましたが、良いですね。参加者は40名ほどいて、それぞれ1枚ずつ、個性があるのですが、それぞれ共通したテーマごとに組み分けされた展示がとても興味深いものでした。パッと見た感じ、朝焼けの写真、ポートレート、海、中判サイズ、などで組まれていて、もっと深いテーマごとに分けられているのかもしれませんが。

残すところ3日、会期中はこちらのnoteでは旅の道中、simple useというフィルム交換のできる写るんです的なカメラで撮影したフィルム写真の中で再び2021年に旅した三陸海岸沿いの旅を記して行きます。

今日もありがとうございました。

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