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国内屈指のカレー激戦区作り上げた伝説のカレー屋【ボンディ】

めくるめく神保町カレーと共に(第8回)

▲本連載のタイトル。
実は今回紹介する【ボンディ】の色をモチーフにしている。


 東京は神田、神保町。
 昔ながらのカフェと古本屋、そして珠玉のカレー屋が軒を連ねる街。

 そんなめくるめくカレー体験を味わうことができる街は、ある伝説のカレー屋によって作られたと言っても過言ではない。

 神保町カレー文化の旗手、その店の名は【ボンディ】

 1973年創業。50年に渡って神保町のカレー文化の隆盛を見守ってきた”欧風カレー”のお店。人生で一度は食べていただきたい、神保町が誇る伝説のカレー屋だ。

神保町のカレー文化の旗手にして、伝説のカレー屋

 
 神保町のメインストリートには小学館や集英社といった超大手出版社を始め、大小さまざまな出版社が立ち並んでいる。カフェや古本屋も多く軒を連ねており、まさに神保町が”神保町”たる所以の場所と言えるだろう。平日の昼間であっても多くの学生や社会人が行き交い、活気にあふれている。
 
 しかし、表通りから裏手に入ると、喧騒は一気に遠のく。
 昭和の空気感をそのまま閉じ込めたような雰囲気。古びたビルが立ち並び、どことなく退廃的と思える光景が広がっている。
 
 ボンディがあるのは、そんな裏通りあるビルの中。

▲神保町・ボンディ

 まず真っ先に感じたのは”団地感”だ。鉄扉のステッカー痕や大量の張り紙、くすんだ色の郵便受けなど、なかなかノスタルジーを感じさせる佇まい。

▲長蛇の列ができる証、待ち時間の看板。

 ボンディが入っているのは2階のため、階段を使って昇る。
 お昼時は長蛇の列ができるため、階段に待ち時間の目安が貼ってあった。なお、この階段は他のテナントと共用の階段であるため、並ぶときには注意が必要だ。

▲ビル外観とは裏腹に、ボンディの内装はリッチ感がある。


 店内に入ると、スタッフの案内で4人掛けのテーブルに通された。しかし、そこには既に食事中の人がいた。そう、ここは相席形式なのだ。相席と言っても学食のテーブルのような感じなので、特に気負う必要はない。1人でも安心して入店しよう。

▲メニュー。神保町カレーの中では比較的高価格


 訪問時刻は15:30ごろ。並ばずに入ることができたが、席は8割程度埋まっていた。席数は合計44席。

▲卓上セット。
レーズン、らっきょう、福神漬け、塩コショウとナプキン、つまようじ。

 卓上には珍しくレーズンが置いてあり、カレーとのコンビネーションに期待が高まる。
 お冷のピッチャーはないため、お冷のお代わりが欲しい時は店員さんにお願いしよう(かなりの頻度で巡回してくれているため、特に困るシーンはなかった)

 注文を済ませると、すぐにジャガイモが運ばれてくる。

▲ジャガイモ。バター付きだ。

 ホクホクのジャガイモにはバターが添えられている。ジャガイモと一緒に食べても良し、カレーの中に入れるも良し、使い勝手は抜群だ。

 ジャガイモは【エチオピア】でも出てくるような平均的なジャガイモだが、【ボンディ】には味変アイテムが沢山あるため、単体でも十分に楽しむことができる。

▲卓上にあるレーズンと塩、そして添えられているバターをつけていただく。
ただのジャガイモだが、レーズン塩バターの破壊力が加わって絶品。

 おすすめの食べ方は写真の「レーズン塩じゃがバター」。
 食欲が一気に加速する。

 ジャガイモを楽しみながら待つこと数分、すぐにカレーが運ばれてきた。

▲ビーフカレー(1600円)

 注文したのは一番人気、ビーフカレー。
 ポットに入ったカレーと、別皿に盛りつけられたライスの構成だ。ライスの上にはチーズ、梅干し(カリカリのタイプ)、きゅうりの漬物が乗っている。
 ちなみに辛さは【甘口・中辛・辛口】から選ぶことができる。今回は中辛を選択した。

 運ばれてきた瞬間、芳しいスパイスの香りが鼻腔を刺激し、一気に空腹感が襲ってきた。逸る手を押えて記事用の写真を撮り、いざ——実食!

▲とろみの強いカレー。底には大きなビーフがごろごろと沈んでいる。

実食

▲ライスにかけて。

 福神漬けを添えたライスにルーをかけて——いただきます。

▲スプーンと比較しても大きなビーフ。

 ぱくり。

——————ッ!!!!!!!!!!!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!!!!!!!!!!!!!

 な、なんだこれは…………!?

 衝撃——そう、衝撃だ。
 こ、これが……1つの街に、新しい文化を生み出した伝説の味……!
 
 まろやかでコク深く、それでいてスパイス感を一切損なわないバランス感覚。実に濃厚な味わいだ。
 包み込まれるような甘さと、口の中で多元的に広がっていく華やかなスパイス。ルーに使用されているバターによってスパイスの棘が取り除かれ、スパイスの華やかな部分だけが巧みに抽出されている。

 具材のビーフの完成度も素晴らしい。口に入れた瞬間に溶けていくビーフはルーを引き立て、肉汁がルーのコクを一層深めている。

 また、ライスに乗せられているチーズがいい仕事をしている。チーズのコクがライスとルーを包み込み、一皿としての完成度を爆発的に高めているのだ。 
 
 しかし、コク深さとは諸刃の剣。濃厚な味は最初こそおいしく感じるものの、食べ進めるにつれて”飽きる”のだ。

—————しかし。
 
 この店はボンディ——神保町のカレー文化の旗手だ。抜かりはない。

 カリカリの梅干しやキュウリの漬物といった「酸味」のあるつけ合わせを使用することで、ダレがちな食事中盤~の味わいに変化を持たせているのだ。コク深いルーと、カリカリシャキシャキの漬物のコンビネーションに、スプーンを繰る手が止まらない……!

 さらに、先ほどのレーズンを投入すればフルーティーなフレーバーが加わり、コク深いルーに軽妙さが加わる。こちらのマッチも絶妙だ。

 一口ごとに味変をしたくなるほどの味変グッズの多さは、カレーを食べる人のことを考え抜いた故だろう。それはまさに、カレーとカレーを食べる人に向けられた愛だ。

 威風堂々たる味わいは、神保町にカレー文化を生み出したとされる伝説の味として讃えられるに相応しい。最後までスプーンを繰る手が止まることはなく、気づけば完食していた。

 ごちそうさまでした。

総評

 食べ進める手が止まらないあまり、うっかり味変グッズのアップを取り忘れたので食レポ後半は文字ばかりになってしまった。ご容赦いただきたい。

 高級感のある味はさすが伝説のカレー屋と言ったところ。まろやかでコク深く、口に入れた瞬間に華やかなスパイス感が広がるカレー体験。まさに憧れの味だ。
 神保町に来たときは——いや、一生に一度は、このカレーを食べに神保町に来てほしい。神保町最高峰の味は、きっとあなたを虜にすることだろう。

テイスティングノート

▲評価はあくまでも個人の主観

さいごに

 さて、いかがだっただろうか。
 神保町の伝説のカレー屋、【ボンディ】の魅力を少しでも伝えることができたのなら幸いだ。

 格調高く華やかな味は絶品。カレーの街を築いた一皿、ぜひご賞味いただきたい。

 次回更新は2週間後の火曜日か水曜日の予定だ。
 ぜひぜひ楽しみに待っていて欲しい。
 
 それではそれでは。


公式サイト:


※本記事の情報は2024年8月現在のものです。
 メニューの価格や内容、営業時間などは変更になる可能性があります。

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