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圧倒的旨味の離岸流! この夏に食べたい、最高のスープカレー【スープカレー オオドリ―】

めくるめく神保町カレーと共に(第4回)


▲本連載のタイトル

神保町の空、スープカレーの夏

 東京は神田、神保町。
 昔ながらのカフェと古本屋、そして珠玉のカレー屋が……。
 ……。

 ………………い。

 ………………暑っっっい!!!!

 本日(6月11日)の東京・神保町の気温は28.9度

 もはや夏である。
 間違ってもカレーを食べる気温ではない。

 が。

 食べないといけない、この記事の為に……。大地が割れ海が干上がり空が落ちようとも、カレーを食い、記事を書く。それが私の隔週火曜日だ。

 一度でも宣言した締め切りを落とせば、締め切りの延長が常態化して一生連載が更新されなくなるだろう。
 私はこの連載を書ききると誓った以上、たとえ真夏日であってもカレーを食い、記事を書かねばならないのだ。

 とはいえ暑いものは暑い、どこか、あっさり食べられるカレーは——あった。

▲スープカレー・オオドリ―
(なお、写真左は連載第1回に登場した「マジカレー」
写真右に見切れているのは、連載第2回に登場した「エチオピア」である)


 
 ここは【スープカレー オオドリ―】 

 そう。今回はインドカレーでも欧風カレーでもなく、「スープカレー」のご紹介だ。


アングラなカレー専門店・オオドリ―


▲扉の張り紙で店内があまりにも見えづらい。
ずっと閉店しているものだと思っていた(これで営業中)


 【スープカレー オオドリ―】は、神保町駅から徒歩5分のところにある。例の《カレートライアングル》の中央に位置するお店だ。

 隣接する【マジカレー】や【エチオピア】と比べても、なかなか年季を感じさせる店構え。扉の張り紙のせいで店内はほとんど見えず、実に妖しげな雰囲気だ。

 いざ入店。

▲店内の様子。1フロアだが、階段で少し高まった部分(中二階)があり立体的。

 
 外観とは違い、中はレトロでおしゃれ。
 
 洋画やウイスキーのポスター、シックな色合いの木を使った内装はどことなくアンダーグラウンドな雰囲気を帯びており、カレー屋というよりも喫茶店やバーといった趣だ。

 食べたら出ていく——そんな雰囲気を帯びたお店が多い神保町だが、この店にはゆったりとした時間が流れている。これなら大事な日にも使えそうだ。

 平日の12:40ごろに入店。運良くすぐに席に通された。

 なお、待ちがある場合でも、【スープカレー オオドリ―】は店内で待つことができる。勇気を出して入店してみよう。
 
 神保町のカレー専門店は総じて店内が狭いため、店の外で待たされることが多い。そんな神保町カレー界隈にあって、涼しい店内で椅子に座って待てるというのは、とても幸せなことなのだ。冷房を享受しよう。

 店内は二人掛けのテーブル席が12卓程度(合計24席)だ。


▲メニュー。スープ・具・辛さを選べる。

 カレーの種類は2×6
 《スープ》・《具材》・《辛さ》を選ぶことができる。

 まずスープだが、これは《黒》と《赤》の2種類。
 《黒》は野菜と豚骨のスープであり、《赤》は野菜と手羽先のスープ。
 
 今回は《黒》を選択した。

 次にカレーの具材。6種類あり、それぞれの具材とスープの組み合わせを考えるのが楽しい。今回は《黒》の豚骨に合わせるべく、《黒毛和牛100%ハンバーグ》を選んだ。 

 辛さは4種類だが、今回は1辛を選択。1辛でもなかなか辛かったので、辛いのが苦手な方は店員さんに頼んでマヨネーズかフレッシュクリームをもらうのが吉。

▲卓上セット。味変アイテムはなく、お冷のピッチャーもない。最小構成

 さて、注文から5分程度。

 彩り豊かな黒毛和牛カレーが運ばれてきた。

▲《黒》スープの黒毛和牛スープカレー(1350円)

  カレーが来るタイミングで紙エプロンがもらえるので、スーツやおしゃれ着でも安心だ。

 

▲卵・ピーマン・人参などが入っており、見た目が華やか

 
 具材はハンバーグの他に、卵・ピーマン・人参・じゃがいも・玉ねぎなど、野菜が沢山入っている。スープの海に沈むハンバーグの存在感も相まって、非常に頼もしい見た目だ。


いざ、実食。

 

▲いただきます。

 
——ぱくり。


▲————ッ!


 ———————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————ッッッッッ!!!


 うっ……うまい!!

 これまで食べたスープカレーの中でも、1,2を争うおいしさだ!

 野菜や肉の旨味と、スパイスの奥行きが幾重にも重なったコクのある辛さ。スープカレーということで口当たりは非常にサラっとしているものの、口に広がる重厚感のある味わいはスパイスカレーにも引けを取らない。

 そして、黒毛和牛100%のハンバーグ!
 
 それ自体もおいしいのだが、ハンバーグが崩れ、溶け出した肉汁が混ざったスープがあまりにも絶品
 通常のハンバーグカレーといえば「ハンバーグ+カレー」といったイメージで、カレーとハンバーグの境界がはっきりしている印象がつきものだ。

 しかし、オオドリ―は違う!

 オオドリーのハンバーグには、「カレーをおいしくするための具材」というプライドを感じられる。カレーとハンバーグの阿吽の呼吸。世界が生まれた瞬間から、ずっとその姿で存在していたかのような完璧な一体感だ。

 そして、味変用アイテムがない理由がようやく分かった。

 要らないのだ。味変が。

 そう、味変などせずとも、ハンバーグの肉汁があふれ出すたびに、加速度的にコクが増していく!! 

 透き通った浅瀬で遊んでいたはずが、いつの間にか深い青を湛えた沖合に流されてしまったかのような体験。

——逆らえないッ……! これがっ、旨味の離岸流……ッ!!


 最後の一滴を飲み干した時、私はスープカレー……いや、あらゆるハンバーグカレーの水平線の彼方まで押し流されていた。もう2度と、普通のハンバーグカレーでは満足できない気がする。

 圧倒的な旨味と、さらっとした口当たり。
 暑い日にこそ食べてほしい、スパイスカレーの彼方を見せてくれる一皿だった。

 ごちそうさまでした。

総評

 
 味を一言で表現するなら、離岸流

 口当たりはフレンドリーながらも、圧倒的な旨味で水平線の彼方まで押し流されてしまう——そんなカレーだ。

 しかし、水平線の彼方に辿り着いた今でも、黒・赤、そして数々の具材が織りなす世界が眼前に広がっている。
 私はまだ、ハンバーグカレーを食べたに過ぎないのだ。

 新しい組み合わせを探すもよし、気に入った組み合わせをリピートするも良し。一度食べれば、きっとまた食べに行きたくなる——無限の可能性を内包した、大海原のようなカレー屋だ。

 スープカレーに馴染みがない人も、ぜひ、足を運んでみてほしい。

テイスティングノート


▲評価はあくまでも個人の主観。


さいごに


 いかがだっただろうか?
 スープカレー オオドリ―の魅力を少しでも伝えることができたのなら幸いだ。

 スープカレーのあっさり感と、深いコクの両立。食べれば食べるほど食欲が加速していく、これからの季節にぴったりなスープカレー。ご賞味あれ。

 次回更新は【6/25】の予定だ。
 ぜひぜひ、楽しみにしていてほしい。 
 


スープカレー オオドリ―:


※本記事の記載は、2024年6月時点の情報です。
 メニューの価格や内容、営業時間は変更になる可能性があります。

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