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カレー激戦区・神保町にある、通いたくなる超名店【キッチン南海】

めくるめく神保町カレーと共に(第5回)

▲本連載のタイトル。
冬コミで記事をまとめた同人誌を出したい。

神保町で愛されるカレー

 東京は神田、神保町。
 古本屋にカフェ、出版社などが立ち並ぶ、歴史と伝統を感じさせる街。

 そんな歴史と伝統ある神保町は、今や「カレーの街」として名を馳せている。今回はめくるめくカレー体験を味わえる神保町のカレー店のなかでも、リピーター続出の超人気店をご紹介しよう。

 その店の名は【キッチン南海】

 神保町で最も行列する店のひとつに挙げられる、超繁盛店である。

気品を感じる、昔ながらの洋食店


 神保町駅から徒歩5分のところに、その店はある。

▲神保町・キッチン南海

 まず真っ先に目に飛び込むのは大行列。
 訪問時刻は平日の12:30ごろ。お昼時ということもあるだろうが、待ち人数は20人程度だ。

▲客層は学生2:サラリーマン6:そのほか2程度

 客層は幅広いが、目立つのは中高年層。かなり愛されている店のようだ。この日の待ち時間は20分程度だったが、体感時間はそこそこ長い。近くの書店や古本屋で適当な本を買って行くのがおススメだ。

 ちなみに筆者は、最近文庫化された中国のSF小説『三体』を読みながら待った。面白くて待ち時間があっという間なので、迷ったら『三体』を買って行こう。

 と、ここで注意点だ。
 キッチン南海は、並んでいる間にオーダーを聞かれる。そのため、待ち時間の間にメニューを決めておかなければならない。

▲待ち列のところに貼られているメニュー。
一番人気は『カツカレー』だが、定食もある。

 並ぶ場所にもメニューが貼られているので、それを見て決めておこう。価格はいずれも神保町カレーの中では低価格帯(相場が900~1600円だ)だ。
 洋食屋だけあって、看板メニューのカツカレー以外にも、しょうが焼きやひらめフライなど、定食メニューも豊富だ。

▲入口前の食品サンプル。
【まんてん】もそうだが、食品サンプルがあると、
ぐっと親しみやすい印象になる気がする。

 20分ほど待って中に入る。

▲卓上セット。お冷・ドレッシング・ソース・からし・醤油・塩
レモン・マヨネーズ・ごましお・一味・タバスコ・福神漬け

 全席がカウンター席になっており、キャパは14席。決して店内は広くない。

 厨房ではコック帽をシャキッと被ったシェフが二人体制で腕を振るっている。店内はお世辞にもオシャレとは言えないものの、独特の気品が感じられる。まさに「洋食屋」のイメージ通り、伝統を感じさせる格調と、市民に開かれたフレンドリーさが同居している印象だ。

 卓上に目を移すと、そこには豊富な味変グッズが揃っている。
 ドレッシングは席によって卓上に置かれている味が違っており、今回の席にはオレンジ色のドレッシングが置かれていた。毎日来ても飽きないように工夫しているのだろうか、なかなか嬉しい心遣いだ。

実食


▲カツカレー(800円)


 さて、入店から5分。
 目の前に、黒々としたルーが特徴のカレーが運ばれてきた。

 今回注文したのは、看板メニューのカツカレー(800円)。皿の上には黒いルーとカツ、ライスのほかに、なんとキャベツも乗っている。キャベツが乗ったカツカレーというのも、なかなか珍しい気がする。

 それでは、福神漬けを添えて——いただきます。


▲福神漬けは、昔ながらの真っ赤なタイプ。
いただきます。

 ぱくり。

 ———————ん! うまい!

 まず真っ先に、ビーフストロガノフやデミグラスソースを思わせる濃厚な味を感じるが、すぐにキリッとしたスパイスの刺激が追いついてくる。

 後味はかなり辛口でドライな風味。後引く辛さの奥に、どことなくコショウっぽさを感じさせる。

 ルーを食べて高まった期待を胸に、カツを口に運ぶ。

 カツは薄めだが、単品で食べると少々重たい印象だ。
 しかし、カレーと一緒に食べれば、さっぱりとしたカレーの風味で重さが中和され、非常に食べやすい。カツのサクサクした軽快な食感がカレーの味を引き立て、素晴らしいコンビネーションが生まれている。

 なるほど。あの行列も頷ける。
 すっきりした味と満足感、トラディショナルな雰囲気を持つは、神保町の文化的な雰囲気にぴったり—————————————————————————————————————————————————ンん!?

 
 なんと、隣の人がマヨネーズをカツにかけ始めたではないか。

 そうだ。すっかり存在を忘れていたが、卓上には何種類もの味変アイテムがあるではないか。

 さっそく隣の人に倣って、マヨを使うとしよう。

▲マヨネーズを
▲こうして
▲こう

 
 では、いざいざ……

 ぱく。


▲————————————ッ!!!!!


 ——————————————————ッ………!!??

 う、うまい……!! あまりにもうまいッ……!


 マヨネーズによって、辛めのルーの角が取れてマイルドに。
 さらに、カツの重たさがマヨネーズの酸味によって軽減され、より軽い口当たりへと変化した!
 
 マヨネーズのコクと酸味によってカレー全体にいっそう深みが生まれ、スプーンを口に運ぶ手が止まらない。 
  
 マヨの他にもタバスコやレモン汁など、使用したら面白そうな味変アイテムが沢山あったのだが……気が付けば完食してしまっていたため、今回は使えなかった。ぜひ次の機会に試したい。

 ごちそうさまでした。


総評

 
 味を一言で表現するなら、”洋食屋のカレー”。
 いや、実際に洋食屋のカレーなのだが、私が言いたいことはこうだ。

 「店と客の適度な距離感」「客の要望に応える懐の深さ」「何度でも通いたくなる親しみやすさ」と、「ちょっとの特別感」が味わえる場所で食べるカレー——それこそが、”洋食屋のカレー”だ。 
  
 味変アイテムが豊富であり、価格も手ごろ。自分だけの推しカスタムを見つけるのも面白いだろう。
 

 古き良き気品ある洋食屋のカレー、ぜひ一度ご賞味あれ。

テイスティングノート


▲評価はあくまでも個人の主観


さいごに

 さて、いかがだっただろうか?
 神保町で愛される、キッチン南海の魅力を少しでも伝えることができたのなら幸いだ。

 キッチン南海は暖簾分けの店が多いため、もしかしたら、読者諸兄の身近なところにもお店があるかもしれない。
 
 もし本記事で神保町カレーに興味をもっていただけたのなら、ぜひ神保町に遊びに来て、その五感でカレー店を開拓してみてほしい。きっと、お気に入りの一皿が見つかるはずだ。


 次回更新は【7/9】ごろの予定だ。
 ぜひぜひ楽しみにしていて欲しい。

 それではそれでは。


キッチン南海:https://visit-chiyoda.tokyo/app/spot/detail/388


※本記事の情報は、2024年6月現在のものです。
 メニューの価格や内容、営業時間は変更になる可能性があります。

※お読みいただき、ありがとうございました!
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