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とある夫婦の平凡な日常。

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2023年4月の記事一覧

【連作短編】Shepherd that doesn’t bark:四月 後編【小説】

【連作短編】Shepherd that doesn’t bark:四月 後編【小説】

 昨日の夜のことだった。

 晩御飯を食べ終わり、さて洗い物でもなんて台所に向かったときに着信音が響く。
 テーブルに置きっぱなしにしていたスマートフォンを夫に見てもらう。

「お母さんからだ」
「スピーカーモードにして、出て」

 珍しい。
 特筆して仲が良くも悪くもないけれど、こうして急に掛かってくるのは何かあったのだろう。
 洗い物の手を休めることなく、電話に出る。

「もしもし」
「もしも

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【連作短編】Shepherd that doesn’t bark:四月 前編【小説】

【連作短編】Shepherd that doesn’t bark:四月 前編【小説】

 桜なんかあっという間に散ってしまって、どんどん暖かくなっていく。
 この間までピンク色の可愛い花弁を咲かせていたかと思えば、もう緑でいっぱいで、すぐに夏が来ることを感じさせるのだ。
 まあ、実際はここからまた少し肌寒くなったり、雨季があったりと慌ただしい日々を過ごしているうちに、なのだけど。

 毎日が晴れ、晴れ、晴れ、の連続でお天気日和も束の間、黄砂の影響で窓も開けられない――開けたくない日々

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【連作短編】桜と閑古鳥:四月 後編【小説】

【連作短編】桜と閑古鳥:四月 後編【小説】

 女の子はじっ、とこちらを見ていた。

 びゅう、と大きな風が吹き、桜が揺れる。
 薄紅色の花吹雪は渦を巻いて、地面や樹木を走り回る。
 それを見て、まるで風に誘われるかのように女の子が舞う。
 バレエのようなステップでくるくると回りながら舞う。
 子供向けのピンク色のビニールボールは器用にも手のひらに吸い付いたように離れず、身体の一部のようだ。
 舞い上がる紺のワンピースの裾は鳥が羽ばたくように

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【連作短編】桜と閑古鳥:四月 前編 【小説】

【連作短編】桜と閑古鳥:四月 前編 【小説】

 まだまだ寒いと思っていたのも束の間、あっという間に暖かくなり季節は春へと移り変わる。
 いつの間にやら菜の花が咲き乱れ、桜前線はこれでもかという速度で侵攻していった。
 春休みが終わる前にと躍起になって遊ぶ子どもたちの声は眩しく、春の陽気は人々を外へと誘う。
 そして今年も薄紅色の小さな花は満開の兆しを見せて、大人たちは酒を飲む機会へ思いを馳せる。
 入学式でもあったのだろう。
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