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曇戸晴維@Daily Narratives Writer
2023年4月29日 15:02
昨日の夜のことだった。 晩御飯を食べ終わり、さて洗い物でもなんて台所に向かったときに着信音が響く。 テーブルに置きっぱなしにしていたスマートフォンを夫に見てもらう。「お母さんからだ」「スピーカーモードにして、出て」 珍しい。 特筆して仲が良くも悪くもないけれど、こうして急に掛かってくるのは何かあったのだろう。 洗い物の手を休めることなく、電話に出る。「もしもし」「もしも
2023年4月22日 19:28
桜なんかあっという間に散ってしまって、どんどん暖かくなっていく。 この間までピンク色の可愛い花弁を咲かせていたかと思えば、もう緑でいっぱいで、すぐに夏が来ることを感じさせるのだ。 まあ、実際はここからまた少し肌寒くなったり、雨季があったりと慌ただしい日々を過ごしているうちに、なのだけど。 毎日が晴れ、晴れ、晴れ、の連続でお天気日和も束の間、黄砂の影響で窓も開けられない――開けたくない日々
2023年4月15日 12:50
女の子はじっ、とこちらを見ていた。 びゅう、と大きな風が吹き、桜が揺れる。 薄紅色の花吹雪は渦を巻いて、地面や樹木を走り回る。 それを見て、まるで風に誘われるかのように女の子が舞う。 バレエのようなステップでくるくると回りながら舞う。 子供向けのピンク色のビニールボールは器用にも手のひらに吸い付いたように離れず、身体の一部のようだ。 舞い上がる紺のワンピースの裾は鳥が羽ばたくように
2023年4月8日 15:49
まだまだ寒いと思っていたのも束の間、あっという間に暖かくなり季節は春へと移り変わる。 いつの間にやら菜の花が咲き乱れ、桜前線はこれでもかという速度で侵攻していった。 春休みが終わる前にと躍起になって遊ぶ子どもたちの声は眩しく、春の陽気は人々を外へと誘う。 そして今年も薄紅色の小さな花は満開の兆しを見せて、大人たちは酒を飲む機会へ思いを馳せる。 入学式でもあったのだろう。 新品ぴかぴかの