懺悔風呂

どこかで聞いた風呂は心の洗濯というフレーズが頭に残る

私にとっては懺悔室のようだ

己の無価値感と

生きていることへの罪悪感でいっぱいになる

濡れた髪も身体も顔も大嫌いだ

今日だけかもしれない、今日だけそんな気分なのかも

と、暗示をかけてみるものの

大体毎回懺悔風呂している

懺悔して後悔して「このままフラフラいきるのか」と

ボーっとしながら湯船に浸かる

違法行為をしているわけでもなんでもないのに

ただ生きていることに申し訳なさを感じ

シャンプーをして抜けていく髪をみながら

生物ってなんだろうと思う

コンディショナーの匂いで一回意識が揺らぐけれど

身体を洗う時ふと腕の傷をみて

やはりこのまま生きていてもなぁと素に戻る

顔を洗う時はプラスチックのおもちゃみたいに

ただ淡々と泡立てて

「そういや泡で洗顔が大事って言ってたっけ」なんて

どこかで聞いたことを思い出しながら

目を閉じ泡をのせ「人は忘れて生きていく生き物」と

頭に刻み込んで手を動かし泡を流す

最後にボディオイルでマッサージをするけれど

特に何も起こらないのは知っていて

腕や足やお腹にオイルを滑らせても

「価値なんてどこにあるんだろう」と

自分の無価値感でまた頭が振り出しに戻る

お風呂の中は大嫌いだ

静かだから怖いのかなとスピーカーで

心地よい音楽を流しても

シャワーで消されてしまう

小さな音は大きな音には叶わない

まるで人間みたいだなーと思いながら

お風呂をあがる

身体を清潔にするのは大事

勿論マナーの知識として知っている

だが、あと何回私は懺悔風呂をしたら

楽になるのだろう

あと何回目で風呂が楽しめるようになるのだろう

流れるお湯を見てずっと考えている