教育実習の思い出 1 劣等生

小学校の先生になりたくて、地元の女子大の教育学部に入った。

当時の私は超絶劣等生で、およそ70人いる学部の中でもダントツ最下位の成績だった。

言動も頭が悪かったけどヘラヘラして明るかったので、慕ってくれる友達は多かった。

私が入った大学は、地元ではお嬢様の入る学校として有名だったそうで(入学してから知った)、バイトしている人はほとんどいなかった。

みんなバイトもしていないのにいつも高そうでかわいいお洋服を着ていて、大学では熱心に勉強に励んで放課後はみんなでカフェやカラオケに行って、大学生活を謳歌していた。

一方、私は超絶貧乏家庭だったのでバイトばかりしていた。当然奨学金も満額借りていた。

バイト代は安い服と教材費と家へ入れるお金に消え、大学では熱心に勉強に励んでいるかと思いきや気付いた頃にはよく寝ていた。放課後は即バイトへ行き日付が超える頃まで働いた。

いつしか学部の女子たちから馬鹿にされ始め、当時はまだメジャーでなかった「アスペルガー症候群」という言葉を教育学の授業で紹介された瞬間、私は学部内で「アスペ」というあだ名を付けられイジられていた。

今思うとイジリではなく虐めである。

教育実習が近づいてきた時期、学部のトップみたいなガタイのいい女(これまた金持ちの女)から

「アスペが教育実習やり遂げられるはずないじゃん、子供より子供なのに」

と言われた。

悔しいし腹が立ったけど、確かにそうかもしれないと思った。

自信はなかった。
実習前の書き物やら練習やら準備やらで、私は既にかなり手こずっていた。
その度にみんなから馬鹿にされていた。

こんな私が1ヶ月の教育実習をこなせるわけがないと思った。

私はなぜか母校の隣の小学校へ実習に行くことになった。
みんな母校なのになぜか私だけ。
今でもなぜか知らない。

私は2年生のとあるクラスの担当をすることになった。

教育実習初日は、学芸会の練習初日でもあった。
私はさっそく学芸会の練習に参加することとなった。
2年生は手話をしながら歌を披露するらしい。

まずは歌を覚えるために、教室のオルガンでメロディーを弾きながらみんなで歌うことになった。

ところが担任の先生は楽譜は読めないしピアノが弾けないことが発覚。
歌の練習ができない。困った。どうしましょうと嘆いていた。

ちなみに先生は森高千里に似ていた。めっちゃ美人かつかわいかった。

ピアノが弾けなくても小学校の先生になれるのか…と驚いたし、今までどうやってこの状況を乗り越えてきたのだろう…と思った。

私はピアノこそ大学の授業で習った程度しか弾けないが、9年間吹奏楽をやっていた上に絶対音感があったので助け舟を出した。

オルガンを弾いて歌いながら、子供達にメロディーを教えた。

子供達は私の弾くオルガンに合わせて歌い始めた。

そこで先生と子供たちのハートをがっちりと掴んだらしく、私は初日から人気者になった。

続く

長編恋愛noteの後の第一作目、何にしようかと思ったけどとりあえず教育実習の話にしてみます。忘れられない素敵な思い出なので。でも大したことないから多分②で終わる。
というか皆さんどんなお話が聞きたいんだろう。元カレの話とか?


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