お歳玉
若者の政治離れが叫ばれてもう久しい。
投票権を18歳に下げたものの、度重なる政治家の不祥事による諦めムードも加わり、30歳以下の投票率は1割を大きく割り込んでしまった。31〜50歳でさえも1割前後の状況だ。
これに反して高齢者(65歳以上)の投票率は、その年齢を大きく超えた数字を叩き出している。
こうなるともう、政治家は高齢者の言いなりである。
手始めに、今年の春から熱中症予防対策として、高齢者のいる家庭へのエアコン設置補助制度が始まり、空調機メーカーの株価を押し上げた。
来年度からは、高齢者の医療費負担を無料に戻すことが予定されている。
「さあ出かけよう!キャンペーン」と銘打ち、高齢者のJR無料化の話まで持ち上がった。流石にこれには反対意見も出て、対象者を65歳から75歳に引き上げ、月曜日から木曜日の間だけとする事で落ち着きかけたものの、財政問題から継続審議となった。
この時、JRを国有化に戻すことも議論されたが、同じく継続審議となっている。
そして今、審議されているのは「お歳玉」支給についてである。
数え年で1歳あたり千円の「お年玉」を支給することは決定したが、対象年齢を何歳からにするかで紛糾している。少数意見だが、孫がいる事を条件にすれば、少子化対策にもなるとの意見もあったようだ。
しかし、このような状況にも関わらず、若者からの反発は起きなかった。
興味がある事だけに目を向け、テレビニュースや新聞を見ない事が原因であろうと、何処かのテレビ解説者がまことしやかに語っていたが、ある番組のインタビューで、その原因が明らかになった。
インタビュアー
「高齢者に国からお年玉が支給される事になりそうなんですが、ご存じですか?」
サラリーマン
「ぎゃはは~、これって何時放送されんの?」
大学生
「興味ねぇ~つうのっ」
小学生
「ああ「お歳玉」の事ね。あのお金ってどうせ僕たちが貰えるもんね。」
案外20年もすれば、この国もまともな国になっているのかもしれない。
823文字
2月に投稿した後、全く書けないままでしたが、何故か急に思いつき仕上げてみました。
これを機に再開できればいいなぁと思っています。