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バランスボール

バランスボールに挑戦することにした。部屋の隅でほこりをかぶっていたそれを見つけ、なんとなく運動を始めてみようと思ったのだ。最初はただ座ってみるだけでも良いだろうと、軽い気持ちで試してみた。

しかし、バランスボールは僕の予想を裏切った。不安定さに驚き、全身の筋肉が微妙な動きを制御するために働き始めた。その不安定さを感じながら、無意識にバランスを取ろうとする自分の体に気付いたとき、少し戸惑いを感じた。

続けるうちに、この不安定な感覚が奇妙に心地よく感じられるようになった。ボールの上に座っている間、頭の中が澄んでいき、日常の雑念が次第に消えていく。まるで、自分自身の内側に深く潜り込んでいくような感覚だ。

時間が経つにつれ、少しずつバランスを取るのが上手くなってきた。でも、同時に全身の筋肉にじわじわと疲労が蓄積していくのを感じる。簡単そうに見えたこの運動が、実はかなりの挑戦であることを実感した。

結局、バランスボールでの運動は僕にとってただのフィットネス以上の意味を持つようになった。自分の体と向き合い、心の中の静寂を見つける時間だった。それは、日常の喧騒から解放される貴重なひとときであり、自分自身の内面を見つめ直す機会だったのかもしれない。特別な場所を見つけたかのように感じながら、僕はバランスボールの上で揺れていた。

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