日陰の向日葵。

少年は、向日葵の種を日陰に植えた。それは、誰しもが幼い頃にもつ、好奇心に隣接した残酷な感情によってもたらされたものだった。もちろん少年は、他人の目線を受ければ、優しく溌剌とした少年Aを演じることができる。しかし、まだ独りでいる時に、本能を理性で抑えられる程は成長していない。少年は、公園では蟻を踏み潰す巨人になり、校庭では草花を千切る悪魔になった。そういった部分が、今回も少年を突き動かした。どの花よりも陽光を希求する向日葵を、日陰に植える。少年の豊かな想像力をもってしても、それは限りなく残忍の際に接する行為だった。

しかし、少年の思考とは裏腹に、向日葵の種はすんなり芽を出し、すくすくと育った。少年は、地球が太陽を中心として律儀に回っていることを、まだ実感することができていなかった。少年は悔しがった。思い通りにいかない、他の生物に怒りを覚えた。やがて、花開いた向日葵。少年は太陽の光を一身に受けんとする向日葵を、くしゃくしゃにすることしかできなかった。

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