うらめしや。
墓場で缶チューハイを空けていると、決まって幽霊が声を掛けてくる。
「うらめしや」
「何がそんなにうらめしいんだい? 」
「愛する人に殺された、うらめしや」
「でも、どんなに恨んでも君が幸せになることはないよ。君の幸せを考えてもいいんじゃないかな」
「……」
幽霊は成仏した。酒を飲むついでに、霊助けをするのは悪くない。僕はしばしば墓場へ赴き、缶チューハイを空けるようになった。プシュウ。うらめしや。
「うらめしや」
「何がそんなにうらめしいんだい? 」
「生きとし生けるもの全て、うらめしや」
「でも、いくら憎んだって、君が生を取り戻すことはできないだろう? 」
「生きとし生けるもの全て、うらめしや」
「君は、君自身の幸せをもうすこし」
「うらめしや、うらめしや、うらめしや……」
やれやれ、幽霊はあろうことか僕を呪い殺してしまった。幽霊には余り干渉し過ぎない方がいい。あぁ、うらめしや。
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