クローンユートピア。

「ママ、学校行きたくない」

「どうして? 」

「学校の勉強って、つまんないんだもん」

「....…そうね、それじゃあ今日はお休みにしましょ」

「ありがとうママ! 」


母親はひっそりと地下室に向かう。紺色の制服を携えて。

「今日も、稼働してもらうわよ」

「....…」

少年は言葉を話せない。声帯を抜かれているのだ。

「いつもと同じ。学校に行って、黙って過ごして、帰ってくればいい。そしたら、アレをまたあげるからね」

少年は黙々と制服を着て、準備をする。

「本当に、クローンを作っておいて良かったわ。注射だけで一ヶ月はもつし、文句も言わないし....…」

むしろ、この子の方がいいんじゃないかしら。母親の一瞬の直感が、言葉にされることはなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?