心の在り処。

心は肩にある。他の人のは知らないが、私の心は肩にある。右肩にも、左肩にもある。右肩の方がきもちばかり大きい時もあるし、ぜんぶ左肩に集まっていることもある。しかし、背中に跨ることは決してない。心は流動体では無いから、そんな迂闊なことはしない。心は顕在するもので、揺れ動く存在ではないのだ。右肩と左肩。そこが、私の心の居場所である。

私の肩が動く時、心も同時に揺さぶられる。そして、それに伴うように感情が動く。どれだけ感動的な映像を観ていても、肩が動かなければ心は眠っている。逆も然りで、都合よく人が死ぬミステリーを読んでいるみたいなくだらない時間を過ごしていても、肩さえ動けば私は感涙する。感情が動いてしまえば、私の行動は理性から離れてゆくから、その性質にずいぶん苦労したものだ。

私は好きな人に、肩を掴まれることが好きだ。私の肩に手が重なり、体温が心に近づくことがたまらなく好きだ。そこに心があるから。そこに、感情があるから。


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