乾き、納屋。

無性に胃が乾く一日が、時々ある。親しい友人とちょっとした諍いが起こるよりは少なく、ビリヤードで企図していない的玉が3つ落ちるよりは多いくらいの頻度でそれは起こる。一説に、そういうのは口唇欲求の顕れとしてのチャンネルのひとつであるらしい。つまり、僕はフレンチキッス的なものを求めていると。しかし、僕はその中に生命の渇望的な何かを感じざるを得ないのだ。

成長期で食べても食べても満たされなかった頃のように、胃が乾く。胃は、僕を狂おしくさせるほどに脳に電極を送る。理性を上手く窘めることが得意だと自負している僕でも、いち有機物である以上こういうのには耐えきれない。まったく、今日はリンゴを7つも食べちまった。 

勘のいい人はもう察してくれるかも知れない。そういうことをすると、つまり日常ならざることに足を踏み入れてしまうと、当然歪な物語に組み込まれていく。近所に納屋はないけれども、納屋に当たるものを考え始めたらキリがない。僕はため息をついて、リンゴをもう一個齧った。

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