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広島へ煙草を買いに行く。

「おじいちゃんはどこにいったの?」

「広島に…煙草を買いに行ったのよ。」

目が覚める。子供の頃、祖母に諭された光景が夢で繰り返されるようになった。同じ夢を見ると不思議な心地がする。それが一晩の経験なのか、本当に繰り返されているものかがいまいちピンと来ない。たぶん、今回は後者なんだろう。

戦争を学ばなければならない衝動に駆られ、広島へ向かう飛行機。うたた寝で、また同じ夢を見る。広島?煙草?二十歳を目前にした僕は、今でもこの言葉の意味を理解することができていない。

人気の少ない広島空港に着き、僕はこの答えを確かめたくなった。バスを一本遅らせ、近くの煙草屋を探す。このご時世、唯でさえ絶滅危惧種的な煙草屋が華やかな空港の近くにあるはずはない。しかし、不自然にも空港の正面にそれは佇んでいた。僕は導かれる様にそこへ向かう。

「…わかばをひとつ。」

何故だが憶えていた祖父の銘柄。

「元気そうだな。」

顔を上げると、そこには祖父がいた。そして、僕は自分がまったく死んでしまっていることを認めざるを得なかった。

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