つるはしを携えて。

貴方はつるはしを威勢よく肩に立てかけて、採掘に行ってしまった。それがとても危険なことだと分かっていたのに。分かっていても、貴方は居ても立ってもいられないおぼこさん。もぬけの殻を被ってガタガタ震える様は、もう二度と見たくないのに。

「ねぇ、思い直してよ。この前で、もう懲り懲りでしょう? 苦しむのは私だけじゃなくて、貴方自身なのよ」

「それでも、僕はつるはしを握ってしまったんだ。ある意味では、これはしょうがないんだよ」

ある意味では! 貴方のそういう言い回しは、決まって危険な時に聞くのよ。私の目に浮かぶ涙に、貴方が気付くことは1度もなかった。

貴方は一層、また一層と自分自身を採掘する。見たくはない自分を、隠しておくべき自分を露わにしても、それでも貴方がその手をやめることはない。まったく、そういうのは十代のうちに終わらせておいてよ、おぼこさん。

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