みずのおはなし。

私は水の音が好き。ぽつゆ、ぽつゆとしたたる水は可愛いし、ずあら、ずあらと猛々しい水は男らしい。そういえば、この男らしい、とか、女らしい、とかは、最近使い辛いみたい。くだらないと思う。けど、よく考えたら、一理あるような気もする。世の中は不思議なことが多い。私の、哺乳類のわりには大きな脳味噌でも、ちんぷんかんぷん。世界はちんぷんかんぷんに回っている。

そうだ、水のおはなし。私のこの身体も、水で構成されているの。それって、すごく素敵だと思う。子供の頃は、それがとても怖かった。私の身体が水で出来ているのなら、お風呂の水やプールの水と私は親戚じゃないかって。朝がきたら、私が水の側に行ってしまうのじゃないかって。だから、私はプールの時間、かちんこちんのおちんちんみたいに、頑なに体操着を脱がなかった。あの、体育教師の顔は忘れたけれど、すごくひどいことを言われた気がする。でも、いいの。誰にだってそういう時はあるもんね。

水は、こんなふうに、どんなにすくってもちょろちょろと隙間を縫う。だから、せっかく水のおはなしをしようと思っても、気付けば道がそれてしまう。でも、そういうところが私は好き。あとで、ごくごくのんで、おしおきしてやるんだから。

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