my room。

実家の部屋。何万回、いや何億回。数えるのには余りにも途方もない回数を往復し、思考を反芻した部屋。思い出と一緒くたに語ってしまうには惜しいほどに、この部屋には私の全てが詰まっている。

一年毎、一月毎と振り返れば、一日毎を求めたくはなるが、記憶は総体として食んでしまう方がいい。私は部屋の空気と、内包する時空をベットの上で横たわりながら食んでいる。少年の頃の希望、思春期の反駁、夜にやってくる耽悩。人生は経験に拠るものだから、この部屋には文字通り私の人生の森羅万象が瞬いている。そう言う場所って、ここ以外には思い当たらない。

私は暫く、私自身の過去の連なりを抱き締めていた、。陽光の暖かみも、廊下に向けて吹き抜ける風も、私の細胞に刻み込まれている。私はそんな部屋で、天井を見上げながら宇宙の中心を思っていた。


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