回転木馬。

アスファルトに張り付いてみる。うつ伏せに、大の字で地球を受け止める。夜の静寂は殊更だが、地球の息吹が鼓膜を揺らすことはない。自転を感じることを試みる。想像もつかないくらいの回転。気まぐれに自転をやめてしま
えば、何百メートルもふっとばされてしまうような回転。慣性の法則。頭では理解できても、不確かで蓋然的な、法則。

回転木馬を思う。軽快なマーチ。囃したてる聴衆。回転木馬のように、回され続ける我々。同じ軌道を飽きることなく、何万回何億回、はじまりからかぞえれば単位にきりがないくらい、まわり続けている恒星。宇宙の隣には、もうひとつの宇宙。その隣にも……我々はその一部である。何光年も前の光を頼って、今日も生きている。

暗闇。宇宙もこれくらい、純然たる闇なのだろうか。冬のアスファルトは冷たく、血液が収縮する。

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