とある手記。

私は時々考えることがあります。私が世界に取り残されて、どこへ叫んでも反響のしないような孤独に抱かれた時に感じる、あの寂寞と諦観の狭間に足首を掴まれる感覚を、皆様は如何にして乗り越えておられるのでしょうか。私は怖くなります。ただちっぽけな私には耐え難いあの苦しみを、あの煉獄まで続いているほどに長い夜を、どのように凌いでいるのでしょうか。

私はそのような不幸を誑かすことができません。不幸は皺となり、私の表情を頑なにします。不幸は私の枷となり、私のあるがままの姿に霧をかけます。私は私であることが至極難しいのです、私は私であることが至極不可能なのです。

それなのに、皆様方は平然と皆様自身であられているような気がするのです。いったいどのようにして、そのような強い心を保たれるのでしょうか。いったいどのようにして、そのような毅然とした表情を浮かべることができるのでしょうか。私には到底分かりません。しかし、仮に私の胸を蝕むこの不具な感情を、皆様方が感じていないのだとしたら、それは何にも替え難い僥倖であると私は思うのです。

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